スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書きなぐるブログ。更新頻度は気まぐれ

平成における野手・投手の複数年起用人数

 

以前、過去の強豪チームの野手・投手人数を出したことがあったけれども、
今年は平成最後の年なので、
平成に入ってからの各4年間データを
いくつかの期間に分けて比較してみよう。
というのは嘘で、
ちょうど平成元年が
阪急がオリックス、南海がダイエーに変わった1年目だから、
ただそれだけの話。
今回の期間は4年間とした。
データをとる時期をどこで分けるかも難しかったのだが、
できるだけリーグ全体の投打のバランスが
極端に変動していない4年を選んだつもりだ。

基準値

ここでの基準値はこうなっている。

  • 野手は100打席以上または全試合1/3以上*1出場
  • 投手は先発10試合以上または20試合以上登板

そんな程度のデータで意味があるのかという批判も多いだろうが、
実際の貢献度よりも
多くの試合に出場すること
主眼を置いたデータだと思っていただきたい。

1989~1992年

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パリーグは89年と90年が打高投低気味だったのだが、
その直後の変動よりはまだまし*2なのでこの4年となった。
90年に歴史的低迷を見せたダイエーが野手・投手とも起用人数が多い。
野手は世代交代やベテランの併用が目立つ中日も多め。
投手はヤクルトがやや多くなっているが、
それ以上に極端な先発完投投手陣で2度優勝した巨人と、
完投が多くなく投手成績も芳しくないが起用は安定していた大洋の
数の少なさが際立っている。

1996~1999年

この前後のパリーグは95年が極端な投高打低、
2000~01年が極端な打高投低と推移する中で、
96~99年はまだセ・パともに安定していた。

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マシンガン打線全盛期に差し掛かり
選手がかなり固定されていた横浜野手陣と、
96年に外野のスタメンが固まった広島の野手人数が少ない。
一方両極端なのがこの時期のロッテで、
世代交代を進めたがまだ併用するのが精一杯だった野手陣と、
96年オフにエース格2人が抜けたが
新たに変われる選手は少なかった*3投手陣
という構造になっている。

2007~2010年

次は楽天の選手層が徐々に固まりだした頃から、
極度の投高打低となる2011年の前まで。

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何というか、1チーム非常にわかりやすい暗黒期が見える。
ドラフト、外国人、トレード、FA、あらゆる手段で選手を入れ替えるが
使えない、使っても伸びない、たまに伸びれば出ていく。
そんなチームの状況がありありと伝わってくる。
オリックスもかなり人数が多くなっているが、
合併当時に選手層が中堅からベテランに固まっていたためか、
この時期はベテランの併用と若手・中堅への移行、
他チームに在籍した外国人野手の獲得が目立っている。
あとは3番手以降の先発とリリーフがかなり不安定なわりに
投手の主力人数が少なめの楽天と、
投打とも予想通り起用人数がやや少ない中日*4か。

2014~2017年

最後は昨年までの4年間。
2013年が入らなかったのはただの偶然。

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世代交代自体はとりあえず進めた阪神や、
中長距離打者と外国人を大きく入れ替えてきたオリックスを筆頭に、
ここへきて野手の起用人数が全体的に増加している。
以前出したソフトバンクは、逆に打線が安定しすぎているチームだったようだ。
投手はヤクルトの不安定さが際立つ表になっている。

選手起用の劇的な変化

今回の計16年の中で、
最も打高投低だったのはパリーグが1990年の平均得点4.70で、
セリーグが1996年の4.44。
投高打低はパリーグが2007年の3.94、
セリーグは2015年の3.51だった。
さて、そうしたことも踏まえて、次の表を見ていただきたい。

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ここ30年、というよりも
最初の約20年の間に投手の起用人数が大きく変わったことが改めてわかる。
平均得点が増えるどころか昔よりもやや投高打低気味にすらなっているのに、だ。
投手分業の確立や試合数の増加などがもたらした起用の変化と言える。
逆に野手はほとんど変わっていない。
強いてあげるなら、
昔よりもほぼ全試合スタメン固定、控え限定の選手が減った印象がある。
つまり一定の打席数を与えられる選手が増えたことぐらいだが、
この点はどんな動機であれ
「スタメンは何があっても固定しなければいけない」と言う人が多いので、
むしろ批判の対象になっている可能性も高い。

*1:130試合なら44、現在の143試合では48試合以上

*2:1989、90年の平均得点は4.63、4.70で最も低い92年が4.19。翌93年は3.93だが、94年が4.59。

*3:黒木や小宮山は当時既にローテの柱だった

*4:一応このリストに高卒の平田(2年目)と堂上直(4年目)も入っている

過去10年の指名傾向を少し具体的におさらい

今回はこのタイトルの通り。
前回までに何度か書いてきた過去10年間のドラフト指名傾向について、
10年の中でも特に年代による変遷に特徴があるチームについて
もう少し具体的に見てみようという話。
今のところ、残る6チームを取り上げるつもりはない。

 

阪神

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「超変革」と銘打った金本監督の就任が2015年。
1位入札が高山、大山、清宮と3年連続野手になったことで
ドラフト指名も大幅な変革が行われた。ように見えるが、
トータルでの指名はそこまで野手重視にはなっていない。
それ以前の7年間で2位以下の野手指名がかなり多めになっているからだ。
というよりも、2015年以降は投手の指名人数を増やすことで
本指名の人数そのものが少し増えた結果、
この野手率になったといったところか。
ここ3年間で目を引くのはほぼ大学生野手しか指名していない点。
昨年、清宮と安田の抽選を外したのも大きいが、
一方で監督を叩くのに都合のいい材料になっているようだ。
金本自身が大卒3~4年目*1に併用からスタメン定着した選手でもあり、
広島時代に多数の高卒選手を見て来た経験が影響しているかもしれない。

 

横浜

ここは以前も取り上げたTBSとDeNAでの指名の違いをもう一度見ておこう。

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DeNAになって高田GMが就任してから、
もっと言えば明確なフロント主導になってからの
大卒・社会人重視が目立っている。
「5年先、10年先を見据える指名=高校生重視」ではないことが
よくわかる。
TBS時代を改めて考えると、この時代の後半(2006年以降)は
「2年間で18歳までの年代表のバランスをとりに行くドラフト」
と言い換えてもいい。
しかしその結果は、
一軍半に満たない大卒・社会人と未熟かつ伸びづらい高卒の寄せ集めに
終始してしまった。

 

巨人

巨人の場合は、ここ10年間の指名を
清武球団代表(のちGM)が中心となった2008~11年、
その体制が崩れ全体の規模がやや縮小した2012~14年、
三軍制導入や諸事件など体制がまた大きく変わった2015年以降、
この3つに分類することができるだろう。

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これを見ていると全く理解できないのが、
2008~2011年ドラフトの異常な評価の高さだ。
1位指名は2009~11年に事実上の逆指名で大卒・社会人選手を指名し、
本指名での投手指名が極端に多い。
一軍では坂本、松本、長野と新鋭も出始めてきたので、
その間に二軍では藤村、中井、加治前、大田、橋本、鬼屋敷らを重点的に育成する。
というふうにこの指名の理由自体を推察することはできる。
のだが、それよりも
どういうチーム事情でも野手を多く獲らないと評価を下げ、
逆指名を非常に嫌っているはずの人たちが
この時代の指名を高評価している
のが理解不能だ。
2012年以降に本指名の野手率が5割を超えているのは、
この時の指名と育成の停滞によって二軍に大きな穴が生じたことが
最大の原因と考えられる。
それでも14年まではまだ余裕を持っていたのか高校生を狙っていたが、
15年以降は一軍も一刻を争う事態に陥ったのがよくわかる。
育成でもバランス型から野手重視に変貌しているのも興味深い。
その一方で、「2012年以降から即戦力投手偏重」と批判する人を時々見かける。
上位指名に高卒投手がいないからなのだろうが、
これで「即戦力投手偏重」なのか……。

 

中日

ここは、落合監督時代、落合GM時代、スカウト主導の時代に分けてみよう。

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このように分けてみて一つ気づいたことがある。
落合GM時代以外の年も指名がいびつすぎやしないだろうか。
野手のほうは2008~10年が思ったより大学生多めだが、
2008~12年のバランスはそこまでおかしくもない。
しかし投手は高校生投手がやけに多い。
そしてこの極端な指名が、2008年から5年連続で続いていたのだ。
この多数を占める高卒投手がほとんど伸びず、
少し伸びて使えば大怪我では投手陣も壊滅するはずである。
それに対して落合GMになってからの指名が奇妙だったのは、
崩壊した投手陣の是正に22歳以下の大社投手を集中指名したことか。
結局は、年齢的にはこれから伸び盛りのように見えて高卒も大社もみな伸び悩み、
一軍の負担が増えていく一方になってしまった。
よく叩かれている23歳以上の社会人野手指名の失敗は事実だが、
長年の投手指名の失敗が外部の識者から語られることはおそらくないだろう。
落合監督や高木監督、各投手コーチに全てかぶせてしまえば済む話だしな。
今後しばらくはスカウト主導が続きそうなので、
ドラフトは高校生偏重路線ということになるのだろうか。
ファンは憎い社会人がいなくなった高卒だらけの構成を見て満足かもしれないが、
試合と育成両方の結果を求められる一・二軍の現場や、
スカウトを含む編成の苦悩は変わらなさそうだ。

 

楽天

2015年に極端な野手偏重指名、
昨年は上位で清宮、村上、岩見を狙ったことで
「指名傾向が良くなった」と思っている人は多いかもしれない。

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全体の指名で見ると3年間の野手率が5割に達しているが、
一方で高校生の比率が下がっている。
というか、1位指名も多かった高校生投手に対して、
2014年までの高卒野手指名も意外と多い*2
2014年に球団社長が「投手は高卒、野手は大卒がいい」と発言した記憶があるが、
野手は指名した高卒選手の伸び悩みがその一因だったのだろうか*3
大卒の中距離打者を育てるのは比較的得意なように見えるのだが、
高卒野手を4年で大学生レベルへ引き上げるのがうまくいかないのか。
ここ3年で若手野手の数自体はとりあえず確保したので、
今年からはまた14年頃までの指名比率に戻ることもありうる。

 

オリックス

オリックスの場合、2013年から指名傾向が大きく変化している。

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これだけだとちょっとわかりづらいが、
まず毎年大量指名するようになった。
この5年間は最も少ない年でも本指名だけで8人を指名している*4
次に、以前にも増して社会人と高校生に二極化しだした。
このどちらかが3人以下だったのは、2015年の高校生(2人)しかない。
最後に、投手と野手いずれかに偏る年がなくなった。
それまでは
投手偏重が2008(4:1)、2009(5:0)、
野手偏重が2010(1:4)、2011(2:6)となっていたが、
最近は最大でも6:3。
全体の指名数そのものが非常に多いので、
ここ5年間は野手を3人以上指名しない年がない状態になっている。
そうやって考えると、1年の指名の中で
年齢・投打のバランスをとっているように見えるドラフトが続いているのだが、
結果には今のところ結びついていない。

*1:1年浪人しているため、スタメン定着は26~27歳

*2:2位は中川、西田、内田の3人

*3:2014年は1・2位が高卒投手、3・4位が大卒野手。説明のためにわざと強調した可能性もある。

*4:育成との合計は最少で9人。ここ3年は12人以上

「高齢」選手の指名数比較

 

今回の「年齢」は、
指名当時の満年齢ではなく
学年を基準としている。
たとえば高校3年生は早生まれ遅生まれ関係なく全て18歳とする。

「高齢」指名の基準

ドラフトで「高齢」扱いされるのはいつ頃だろうか。
これは人によってかなり個人差がある。
まず一般的な年代表などで考えると、
区分の仕方は概ね18~25歳、26~30歳といった形で分けられることが多い。
この場合「高齢」にあたるのは
26歳か、またはプロ入り1年目が26歳になる25歳のどちらかになる。
高卒なら8(7)年目以降、大卒4(3)年目以降というわけだ。
その一方で、
18歳を超えた選手は全て高齢選手、ロートル扱いとする人もかなり多い。
「高校生をとにかくたくさん獲れ」と主張する人は
無意識のうちにこういう意図が働いていると言っていいだろう。
これだけ「高齢」には個人差があるものだが、
そんな中で人々が無意識に年代を区分したがる基準値がもう一つある。
22歳、いやもっと正確に言えば「大学生+高卒3、4年目」と「大卒1年目以降」だ。
高卒3年目以降がドラフト解禁となる社会人の場合、
選手を評価する時に「高卒3年目だからまだ若い」と言う人が結構いる。
こうした評価が聞かれなくなるのは大学生と同じ高卒4年目より後になる。

そんなわけで、
今回はここ10年の23歳以上の選手の指名数を
チーム別に見ていくことにしよう。

「高齢」選手指名が多いリーグ、チームはどこか

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今回の数字は本指名だけ。
なお高卒5年目でのプロ指名のため、
楽天の岩見雅紀、日本ハム榊原諒が大卒ながら23歳の枠に入っている。

野手のほうはみんなの予想通りというべきか、
オリックスと中日の指名が二桁となっている。
一方の投手はやはり社会人投手指名数とほぼ重なっており、
横浜、ヤクルトとパリーグ5チームの指名が多い。
あと、巨人は大学時代から逆指名していた選手が投打に1人ずつ。

26歳以上の選手はどうかというと、
多くても投手は10年で4人、野手は2人。
指名されること自体が非常に少ないのがわかる。
特に社会人はチームでエース、主力になっている選手が大半だろうから、
そういった意味でもこの結果は何となく頷ける。

むしろちょっと気になるのは、
一番右側に出した22歳以下の社会人・独立リーグ出身選手の指名数。
改めて数字で出してみると、
社会人投手の指名が少ないチームのうち、
広島を除く阪神、巨人、中日、ソフトバンクの4チームは
社会人の中でも若い選手を好んで指名する傾向が特に強い。
野手のほうは指名数そのものが少なすぎるので参考にしづらい。
逆指名の頃はこの年代の社会人の上位指名数がもっと多かったのだが、
金属バット時代に比べて
高卒3~4年目までにレギュラーになる選手が少ないことが、
指名数が減った理由の一つかもしれない。

投手に若さを求める人たち

最後に、投手のほうだけ高校生・大学生の指名数と組み合わせるとこうなった。

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広島、巨人、中日、ソフトバンクの指名は18~22歳、
阪神と西武は21、2歳が大半。
あとの6チームは大卒・社会人主体に万遍なく指名、
その中でロッテは高卒がやや少なめと言える。
ただ巨人、中日、阪神は何かにつけて
「即戦力ばかりに目が向いて高校生を獲らないから弱い」と
言われることが多い。
ロッテ、ヤクルト、オリックスなどはまだそう見えなくもないのだが、
この3チームの投手に関しては全く当てはまらないのがわかる。
社会人の若い投手は今年になってつまづいている選手が何人かいるが、
高校生投手は夏予選と甲子園で完全なインフレ状態になった。
これからは大学の秋季リーグが始まり、
1回1回の報道で青筋を立てる人も続出すると思うが、
どの候補がプロ志望届を提出するか。
まずはここから注目である。

過去10年のチーム別ドラフト指名傾向

※9/3重大な追記あり

前回はリーグごとの指名傾向の違いを見てみたが、
今回はもう少しだけ具体的に、
チームによる違いを見てみることにしよう。

 

高卒投手指名が多いチーム

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この表の数字は本指名のみ。
プロ入り後投手から野手にコンバートされた選手は野手にカウントしている*1
9/3追記楽天の高校生指名数に間違いがありました。
正しくは投手11、野手15です。


まずは野手から。 高校生野手の指名はロッテ以外のパリーグ全チームで多く、
大学生野手は阪神
社会人野手はオリックスに次いで横浜と中日が二桁となっている。
社会人野手は指名が異常に少ないチームばかりなので、
偏り自体はかなり目立ったものになっているか。
とはいえヤクルトや巨人以外は、
そこまでイメージとかけ離れた指名ではないかもしれない。

一方の投手。
正直なところわかっていなかった人が多かったのではと思うのが
中日と巨人の高卒投手の多さだ。
特に中日はソフトバンクに次ぐ2番目の多さ。
高校生を極度に嫌うと決めつけられている落合氏がいた時代も
2014年以外は毎年1~2人は指名しているので1年平均は1人以上*2
スカウト主体の年は大量指名したがるのでこのような数字になった。
巨人も投手指名の多い年に高卒投手を何人も獲る傾向がある。

反面、ソフトバンク、中日をはじめとして
これらのチームには最近投手力の弱体化が目立つチームが少なくなく、
しかもせっかく指名した高卒投手があまり育っていない。
中日は今年出てきた小笠原慎之介、藤嶋健人や活躍期間が短い若松駿太らを除くと
長い期間活躍していると言えるのは岡田俊哉のみ。
ソフトバンクにいたってはこの表が本指名だけの数字なので、
この中から今のところ1年以上活躍できているのが武田翔太1人しかいない。
偶然だと思いたい。
その中で高校生投手の指名が比較的うまくいっている広島は、
何度も言っているようにリリーフ投手が多く先発はいない。
最近出てくるようになった中村祐太や高橋昂也は
前田健太以来となる先発への定着ができるだろうか。

逆に、高卒投手指名の少ないチームはどうだろう。
これらのチームの投手成績が良くなっているという事実は
残念ながら見ることが出来ないようだ。
ただ一つだけひっかかるのが、
10年間で一桁しか指名していない3チームも、
一軍でそこそこ活躍する選手、
あるいは一軍で期待を持たせる選手の数が
他のチームとさほど変わらないということだ。

大学・社会人投手指名が多いのはパリーグ

続いていわゆる即戦力投手も見てみよう。
こちらは、極端に大社投手の指名が少ないソフトバンクを除いた
パリーグ5チームと横浜、ヤクルトの指名が多い
ことがわかる。
指名数だけなら本指名そのものが多い日本ハムが僅差でトップ。
また本指名全体の大卒・社会人投手の比率はというと、
これは表に右側にある①になる。
ロッテ、西武がかなり多く、次いでヤクルト、日本ハム、横浜が40%台。
高卒投手が少ない阪神は野手指名自体が多い*3こともあって
楽天オリックスよりも下の数字になり、
逆に野手指名の少ない広島は人数に対してやや高めの数字になった。
むしろソフトバンク、中日、巨人の比率が極端に低いといったところか。

一方でこちらも、指名数に対して成功者は若干の逆転現象が見られる。
指名の多いチームがいまひとつなケースは言わずもがなだが、
社会人投手の指名が少ないソフトバンクは特にその傾向が強い。
摂津正、金無英、嘉弥真新也、山中浩史、加治屋蓮、森唯斗、岡本健と、
まだ長く活躍できていない選手が何人か含まれているが、
1、2年単位で見た場合は全員が一応戦力になっている。

巷の言説と現実の食い違い

今回の内容を簡単にまとめるとこういうことになる。

  • 野手の指名は高校生がパリーグに多く、
    大学生は阪神、社会人はオリックス、横浜、中日が多い
  • 高校生投手はソフトバンク、中日、広島、巨人が多い
  • ソフトバンク以外のパリーグは大学生・社会人投手の指名が多い
  • 高校生(社会人)投手の指名が多いチームが、
    多く指名した選手たちの育成を得意としているわけではない


最後の点は、野手指名に置き換えても当てはまる。
なにせ、広島、西武と野手指名率の低いチームが現在両リーグの得点トップである*4
「何を当たり前のことを言っているんだ」と
この結論を馬鹿にする人も多いと思うが、
こういうことをわざわざ書かねばならないのは、
その当たり前が当たり前じゃないからだ。
ドラフトの世界は、常に
「高校生の成功率が低くないならもっと指名すれば成功者数もそれだけ増える」
と言われ続ける世界なのだから*5

*1:この期間では高校生に投手→野手が計5人いる。
阪神一二三慎太、中日:宋相勲、ソフトバンク:近田怜王、楽天:柿澤貴裕、オリックス:佐野皓大

*2:つまり10年で10~11人指名した他のチームと平均は同じ

*3:本指名の野手率は12球団トップ

*4:野手率30%台はロッテ、ソフトバンク、広島、西武、ヤクルトの計5チーム

*5:ただし大学生と社会人はそうは言われない

過去10年のドラフト指名傾向のセ・パリーグ比較

 

今回見たいのは
高校生・大学生・社会人(独立リーグ含)の単純な指名数の違い。
前置きはなしでさっそく見てみよう。

〇〇のテクニック

本指名の合計数はこうなっている。

  高校生 大学生 社会人 合計
セリーグ 131 129 111 371
パリーグ 153 110 121 384

「まずパリーグは単純に指名数が多い。
そしてパリーグは高校生指名が多く、セリーグは大学生が多い。
社会人もパリーグが多いが、
たぶん指名がうまくないオリックスやロッテあたりが偏っているのだろう。
指名数が多く、特に高校生が多いからパリーグは強いし、セリーグは弱いのだ」

というのが騙しのテクニックである。
これらのデータは、ほんの少し細かくするだけで全く違った意味を持ってくる。

パリーグに多いもの、セリーグに多いもの

ここから今度は投手と野手に分けてみよう。

  高投 高野 大投 大野 社投 社野 合計
セリーグ 74 57 70 59 69 42 371
パリーグ 66 87 66 44 92 29 384

大学生投手はあまり変わらないと言っていいだろう。
そして本指名のパリーグは高校生野手と社会人投手
セリーグは高校生投手と大学生・社会人の野手の指名が多い。
また少し言い方を変えると、
パリーグは野手は指名した野手の半数以上が高校生と高卒選手の指名が多いが、
投手のほうは即戦力中心の指名をしていることになる。

なお指名数を単純に足すと、

  投手野手合計野手率セリーグ21315837142.6%パリーグ22416038441.7%

となり、野手の指名率はセリーグのほうが若干高くなっている。
単純な野手指名数ではパリーグのほうがほんの少し多いが、
たった2人では同じと言って差し支えないだろう。
「野手の指名が多いほうが強くなる」という俗説とも違った結果になっている。

育成選手の指名数

育成を含めた場合はまた少し状況が変わってくる。

  高投 高野 大投 大野 社投 社野 合計
セリーグ 100 76 89 80 95 56 496
パリーグ 87 118 78 57 101 52 493

育成指名はセリーグに投手が多く、
社会人もかなり増えている、
ということは独立リーグ・クラブチームの指名が多い。
一方のパリーグは高校生、独立、クラブチームからの野手指名が目立つ。
育成選手の位置づけがチームによって違うからだろうか。
このあたりは、チーム別で見る際にもう少し詳しく見てみたい。

信仰は自分の目を裏切る

交流戦日本シリーズパリーグが強い理由は、
これまでドラフトに絡めた議論もかなり行われてきたと思う。
そんなパリーグセリーグよりも目立って指名が多いのは、
高校生野手と社会人投手になっている。
ところが、高校生のほうはことあるごとにパリーグが強い理由に挙げられるが、
社会人投手のほうは一切取り上げられないどころか、
高校生投手もパリーグの指名が多いかのような主張をされることも多い。
一般のファンや一部のドラフト評論家にとっては、
高卒選手以外にほとんど関心を持てないから気づかないのかもしれないが、
現実の数字はこのようになっている。

今回の話は、
パリーグが強い(あるいはセリーグが弱い)のは社会人投手が多く、
高校生投手が少ないからだ、
という話ではない
ただ、プロですぐ使えるだけの実力をまだ持ってない選手や、
すぐに使うには育成に時間がかかる、故障が多い、
というタイプの選手の指名が多い可能性はある。

またここ最近は高校生の最高球速が飛躍的に上昇しているうえに、
1、2年目に期待を持たせる高卒投手が数人出てくることがあるため、
高卒投手の評価がまた極端にインフレを起こしつつある。
一方で、1、2年目に期待を持たせる高卒投手というのは
過去にも毎年のように出てきては大半がその後1、2年で失速しており、
実際にすぐ大成するのはその中のごく一部になっている。
この点、特に高卒投手を高く評価したがる人たちは
少し自分の評価を再検討してみる必要はあるだろう。
「甲子園で活躍している投手を高卒時点で大量指名すれば
2、3年後には今後数年間安泰の投手王国がつくれるはずだ」
という幻想は捨てよう
ただそれだけの話である。

2018夏甲子園を数字で簡単に見る

今年で第100回目を迎えた全国高等学校野球選手権大会
満員札止めが例年以上に早かったそうで、
昨年の東京と並んで
高校野球の異常なまでの人気ぶりを示す格好になった。
そんな今回の大会はどんな大会になったのか、数字で簡単に見てみよう。

 

思ったほど打高投低にならなかった今大会

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今年は昨年以上に好打者、強打者が揃い
かつてない打高投低の大会になる、
という前評判だったが、
実際には昨年ほど打高投低にはならなかった。
今年のセンバツ大会のような、
1回戦と準々決勝以降で急激な打ちあいになるということもなく、
平均すると打高でも投高でもない大会で終わっている。

HRは2016年以前に比べるとやや多かったのだが、
それ以上に今年は三振の多さが目立つ大会と言えるだろう。
投手成績のほうはここに出していないが、
今年の奪三振率は6.88。
最近はほぼ6点弱から低い年で5.0強(2015年)と
年によってばらつきはあるものの、
今年はそれと比べて1点近く高い数字になった。
全ての三振を当然見ているわけではないので、 フライボール革命の副作用なのか、
見逃しが多かったのかなどは、これだけではわからない。

 

吉田投手の奇妙な特徴

そんな大会のある意味象徴的存在となったのが、
金足農の吉田輝星投手だろう。
決勝では予選から1人で投げぬいてきた疲労が限界を超えてしまったのか
大阪桐蔭打線につかまってしまったが、
それまでは高い奪三振率と少ない失点で
一躍今大会のヒーロー的存在となった。
吉田投手の数字をちょっと見てみよう。

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今大会の決勝以外の数字も出してみたのだが、
妙に気になるのが被安打の多さ。
準決勝まででも、奪三振率がかなり高いわりに
1イニング1本近い数のヒットを許している。
当てられるとヒットになりやすい球筋なのか、
金足農業の守備力があまり高くなかったのか、
理由はわからないがちょっと変わったデータだと思う。
なお秋田大会では被安打は多くなかった(43回被安打26)。

一躍ドラ1有力候補にまで名前が挙がるようになった吉田投手だが、
プロ志望届は出すだろうか。
奪三振能力が高く、スタミナもあるのが証明された反面、
プロに進むかどうか関係なく、
これまでの蓄積から5年10年先まで投手寿命が持つかどうかが
心配になってくる選手でもある。
果たしてどういう決断になるか。

2018年の村田修一を比較する

 

横浜、巨人に在籍し、
今年はBCリーグの栃木でプレーしていた村田修一選手が現役引退を表明した。
今年中のNPB復帰を目指していたが、
契約にいたる球団は現れなかったようである。

契約に至らなかった理由に関しては
各メディアやSNS上でいくつもの意見が飛び交っているようだが、
その中で「なぜか具体的な数字やデータを出したものがない」という意見を目にした。
これまでのNPBでの内容については
その道のプロにお任せするとして、
ここでは今年のBCリーグでのスタッツについて見てみることにしよう。
といってもこれまで村田が目指したような、
シーズン途中に独立リーグからNPBに移籍する選手は少ない。
私が記憶力不足なだけかもしれないが、
BCリーグからシーズン途中にNPBと契約した野手で挙げられるのは、
2010年に群馬からオリックスに行ったカラバイヨと、
2015年に新潟からヤクルトに行ったデニングだ。
ただ、2015年のデニングは18試合85打席と打席数が少ない。
今回は、今年の村田修一と2010年のカラバイヨの打撃成績を比較してみよう。

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まず成績とは別な点で気になるのが、
今シーズンの村田のポジションである。
少なくとも後期はDHでの出場が多かったようで、
サード守備についた機会が少ないのはマイナスポイントになる。

そして肝心の打撃成績は、
カラバイヨよりははるかに下となっている。
とはいえ、OPS1点台が悪い数字なわけはない。
これを見ると、村田が契約できないのはおかしいのでは、と思えてくる。

ただ、今シーズンは別な問題点がある。
BCリーグの打撃成績が以前に比べてインフレを起こしているのだ。
昨年2球団が加入し計10チームになった影響なのか、
ここ2年はリーグ平均打撃成績が大幅に上昇した*1
2010年のリーグOPSが.681なのに対し、
2018年は8月1日時点で.771となっている。
そこで簡単に出してみたのが表の一番右の数字。
単純に2人のOPSをリーグ平均で割っただけのものなのだが、
2人のリーグ平均からの突出度が大きく異なっているのがわかるだろう。
今シーズンの村田のスタッツも、
この点を考慮して多少割り引かないといけない状況になっている。
村田がNPB球団と契約できなかった理由には、
こうしたスタッツの違いがある可能性も指摘できるかと思う。
もしNPBのどこかで獲得しても、
DH・代打主体でリーグ平均を上回れるかどうか、といったところでは
ちょっと厳しかったか。

この部分は村田に限らず、
今シーズンのBCリーグのドラフト候補にも当てはまる。
今年は外国人選手中心だった昨年よりも
若い日本人選手の打撃成績が急上昇しており、
巷のマニアの評価もかなり上がっている節がある。
ただリーグ全体がやや打高投低になっている点は
気にとめておいた方がいいだろう。
昨シーズンNPBに指名されたのが、
打撃成績ではリーグ平均を下回る10代の2人だけだったのも
気になる点だ。

*1:今シーズンが始まる前は去年だけの一過性のものと思っていたのだが、今年は打高投低の流れがさらに進んでいる