スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書きなぐるブログ。更新頻度は気まぐれ

2018年ドラフト各チーム補強ポイント(前半戦終了時点)

(7/22追記

オールスターが終わって
後半戦が始まってしまったのだが、
現時点でのドラフトでの補強ポイントを書いてみる。
前にも書いた通り、
私は私で考え方がかなり独特と言うか偏屈なほうだとは思うので、
あまり目くじらを立てずに読んでいただけると幸い。

 


今回は下位チームからみてみよう。

東北楽天

年齢的にも衰えが目立ってくるであろう嶋の後継候補、
打撃・守備ともに不調が続いている野手陣、
四球病に悩まされる投手陣と補強ポイントだらけになっている。
二軍にもすぐ一軍に取って代われる選手はまだ少ない。
ただ今年のドラフト候補にもそうした即戦力は少ない上、
全体的に若手の数自体は多いので切るのが難しい。
しばらくは若手・中堅が一軍不調者のレベルに近づくのを待つ必要もありそうだ。
また今年は戦略室の存在がやり玉にあがることがさらに増えたが、
ここをただなくしただけでは昔ながらの主観一辺倒に戻るだけ。
察するに『マネー・ボール』出版から数年間のMLB
こんな対立構造だらけだったのだろうか。

東京ヤクルト

パリーグに強く、セリーグに弱いという異例の事態になっている今年のヤクルト。
このチームを分析すれば、
ただの「パリーグは強い、セリーグは弱い」ではない
それぞれの長所、短所が見えてくるかもしれない。
それはともかく、現在のヤクルト一軍は山田と西浦以外がもうベテランの領域。
若手は開幕からしばらく使われ続けた廣岡なども含めて、
まだ良くて一・二軍往復レベル。
ただ二軍の内野が若いことは若いので見切るタイミングは難しい。
ドラフトでは一年目絶好調の村上の外野適性も考慮に入れつつ
指名していくほうがいいのではないか。
投手は、とにかく「一軍で使える」選手を獲ろう。
「ただの素材型高卒」の大量指名は
「プロの一軍では使えない即戦力」大量指名と何も変わらない*1

千葉ロッテ

最大の補強ポイントはセンターと二遊間。
高校生・大学生・社会人関係なくそれぞれ複数の選手をかき集めたい状況だ。
現実にはそこまで候補の数は多くないので
2、3年越しで何人かの選手を集めていきたい。
二軍の世代交代もしっかり進めつつ、
ここ2年の偏重指名がさほど効果を発揮していない投手も入れ替えていこう。
このチームでもう一つ厄介なのは、ツイッターでも何度か書いた
ファンやドラフト評論家の「ショート平沢」への異常な期待感。
「一軍でスタメン固定」すれば、「過去の二軍成績をはるかに上回る成績」を
「ショートで残せる」はずだ、と考えている節がある。
平沢のバッティング評価の過剰な高さは3年前のドラフトから変わってないのだが、
その評価を活かすためのコンバートも視野に入れつつ
多角的な視点で成長を見ていきたい。

中日

今季は平田が絶好調だが長打力は外国人頼み。
この長打力の補強を重点的に行いたくなるが、
一方でセンターラインも極度の人材不足。
フレッシュオールスターに出た2人もまだまだ時間がかかる可能性大で、
まずはここに2、3年後を見越した即戦力を入れるのが先だろう。
しかしそれ以上に深刻なのが投手陣。
PF補正も考慮すると12球団ワーストが続いているのは間違いない。
ナゴヤドームに頼った素材偏重指名のツケが如実に出てきている。
なのに昨年はまた高校生に走ってしまったわけだが、
今からこの路線を続けて、
つぶさずに先発・リリーフ1年分の10数人を育て切る方法は
果たしてあるだろうか。

オリックス

ここ1、2年で再び改善の兆しが見える投手陣だが、
数年単位で見れば投手は水物。
最近のオリックスも2014年から一旦崩壊後、再度持ち直してきた経緯がある。
即戦力の補強は適宜行わなくてはいけない。
一方で野手の中でも特に緊急性の強かったサードはとりあえず白崎を獲得。
それでもドラフトでの補強は必須で、
年齢差10年もある高校生よりは6年で済む大学生のほうが余裕が作りやすい。
ただ今年はNPBでサードに入れそうな大学生候補が非常に少なく、
週ベで挙げられていたあの選手が現状トップ評価*2なのが実情。
外野も全員が中途半端で人材不足だが、
ここは前評判の非常に高かった高校生が皆伸び悩んでいるのが一因。
彼らの伸びに賭けて今年は高校生を獲っておくのも間違った選択ではないが、
もし「高校生を獲らないからだ」という批判があれば見当違いも甚だしい。

横浜DeNA

今年は二遊間とキャッチャーが例年以上に崩れ、
ここ2年を支えてきたそれ以外のポジションの伸びでも支えきれなくなった形だ。
二軍も人材難のこの3つのポジションは即戦力の補強が急務。
しかし例によって、今年もこれらの補強ポイントに人材は多くない。
高校生で獲ってもいいのは内野の長距離候補と桑原、神里の後のセンター候補、
そもそも登録人数が少ないキャッチャーか。
一方の投手陣はここ数年の上位指名が当たったためか、
他のチームが悪化したことで相対的に良くなったのかはわからないが
劇的に改善しつつある。
ただし投手は一年でも補強を怠るとすぐに崩壊するもの。
現時点では先述の野手の補強ポイントに上位候補が少ないので、
今年も上位指名は投手中心になる可能性は高いか。

福岡ソフトバンク

年齢的にはこれから全盛期に入るはずの今宮も含めて
一軍に不調者・故障者が続出している今年のホークス。
若手・中堅が上林以外ほとんど伸びてこないのがきつい。
今年衰えの目だっている松田の後継は
塚田や高田の中堅の併用で持たせている間に育成するしかないかもしれない。
また、投手陣もかなり深刻。
一軍はHRが多い球場の特性もあってリーグ最下位の数字にまで落ち込み、
二軍は年々「球は速いが制球難*3」の若手が増えて一軍の助けにはならない状態。
監督の投手起用にばかり批判が集まっているが、
二軍の主力を見れば、その最大の原因が高校生偏重路線にあるのは明らかだ。
監督の起用法に問題がないかと言えばそれはそれで、なのだが、
もう少し監督の頭痛をやわらげるドラフト指名も必要だろう。

阪神

打撃・守備とも伸び悩んでいる内野は一、二軍の年齢層がほぼ同じで、
これから全盛期に入るという選手が多い。
なのでこれからの伸びも期待はできるが、
伸びなかった場合は致命的なダメージになるだろう。
即戦力を獲って致命傷を避けるか、
年齢バランスをとるため高校生を獲りに行くかは悩みどころだ。
なお全てを高校生に走るなら、最低あと5年は同じ選手たちで
一軍を回すことを想定しなくてはいけない。
糸井と福留に頼りきりの外野も状況は大して変わらない。
投手のほうは望月、才木の存在で
彼らのような選手の大量指名を求める人が多いと思う。
そんな人たちは、1年目から救世主扱いだった秋山が
1年間働けたのが何年目かをもう一度思い出そう。

北海道日本ハム

清宮が来年か再来年一軍スタメンに定着すれば、
ドラフト評論家はまた「ハムの世代交代は素晴らしい」「高校生野手を上位で」
などと褒めそやすことだろう。
しかし清宮が入るポジションは現在の中田、近藤、アルシアからの交代になる。
戦力向上にはそれほど結びつくものではない。
反面、前から書いているように二遊間はことごとく選手が育っていない。
しかも伸びの悪すぎる選手もまだ若いので切るに切れない。
今後注目すべきは一軍以上にこの「若手」の世代交代と言える。
どこから入れ替えていくか。
投手は大卒・社会人もそれほどうまくいってはおらず、
高校生で上沢と石川直が出てきたので高校生を求める声が強くなるかもしれない。
とはいえ、それで「評論家が好きなフォームをしている高校生」を
ただ増やすということはしないだろう。

読売

ショートを10年以上支えてきた坂本の勤続疲労が顕著になってきた。
ここ3年のドラフトで代替要員は何人か確保してきたが、
セカンドも相変わらず人材難なのでこれら2つのレベルの底上げは難航するだろう。
今年もこれらのポジションの即戦力候補が少ないのも難点だ。
他にも主力が全員30代で構成されている外野も急務である。
そういうとき巨人は坂本という「過去の歴史」を振りかざす人たちが邪魔をしてくるかもしれない。
そしてこれらの対処に「高校生を獲って使えばすぐ埋まる」という主張は、
橋本、立岡や一軍スタメン定着が5年目だった陽で否定されている。
一方で、投手もじわじわと悪化の兆しが見えてきており予断を許さない。
即戦力が必要なのは言うまでもないが、
高校生・大学生・社会人問わず1年に2人以上成功者を出せる
スカウティングと育成の確立が改めて重要になってくる。

埼玉西武

現在全盛期を迎えていると言ってもいい打線だが、
年齢的にも次世代というより5年後への備えが必須になっている。
そういった野手の備えは非常に上手なチームなので、
フロントはその点しっかり対処してくるだろう、
たとえ上位では多く指名しなくても。
その反面、投手はとにかく厳しい。
評判に関わらず素材中心の指名が目立つうえ、伸びが非常に悪い。
契約金の関係もあって、
多くの投手を切って代わりにドラフトで新しい選手を獲るのはきついだろうが、
一・五軍のレベルになっていない選手を5年10年残しても投手難は解決しない。
2012~15年に指名した選手も選別する段階に入っている。

広島東洋

去年台頭した素材型投手が今期は低迷し、
チーム全体の投手数が大きく不足している。
苑田部長はわりと楽観視するコメントを出しているが、
スタッツからは思ったよりも深刻な事態になっているのが見える。
また、好調の野手のほうも深刻な点がある。
それは高齢化。
二軍の野手陣が20代後半と伸びの良くない20代前半に二極化している。
特に二遊間はフル出場の田中、打撃がやや停滞気味の菊池が29歳なので、
年齢のみで考えると、この2人の衰えに対して
高校生の指名では間に合わない可能性が高い。
ただカープは、二遊間に対してはこれまでも体格と高校生にこだわらない指名をしているので、
この後も現実を見極めてしっかり対処してくる可能性は高い。
今年とは限らないが。
そうした指名が成功する間に美間や桒原が昨年の安部ぐらいに成長すると
また少し楽になるのだが。

 

追記

この話をあげたわずか2日後に、
美間優槻と曽根海成のトレードが発表された。
ここで書いたことをもう少し詳しく書くと、
カープは二遊間の25歳以下が桒原と木村だけと極端に不足、
ホークスはサード松田の代役・後継候補が30歳付近に固まっていた*4
しかもこの2人については、
美間は同い年の西川と役割がかぶっている上にポジションの汎用性でやや劣る、
曽根は打撃の伸びが悪い上にタイプが重なっている川瀬の台頭、
とチーム内での需要には少しずつ合わなくなっていた。
しかしお互いの需要にはしっかりと当てはまっている。
このトレードがなければこれから1、2年のドラフトで
即戦力クラスの選手を何が何でも探さなければいけない状況だった。
将来のスタメンに太鼓判を押せるほど楽観視できる状況ではないが、
それぞれの補強ポイントに少しは余裕ができたのは確かだと思う。

*1:ただし評論家や一部ファンは「ただの素材型高卒選手」指名が多くないとすぐ叩くが

*2:サードの候補自体には打撃の評価が非常に高い選手がいるが、将来もサードに入れるかという点が厳しいとされている

*3:念のため付け加えておくと、二軍でも試合を壊すレベルでの制球難ということだ。
たとえば石井一久のような「コントロールが悪い」と言われるが一軍で試合をしっかり作る制球難とは次元が違う

*4:書き忘れていたが、最も若いのは27歳の西田になる

上位を投手で固める指名

  • クイズタイム再び
  • 答え合わせ
  • 「『投手偏重』は悪」なのか

 

クイズタイム再び

に1位から野手を3人以上連続で指名するケースを紹介したが、
今度は反対に、1位から投手を3人以上連続で指名するケースを紹介しよう。

では問題。
2008年以降の10年で、
投手が1位から3人連続で指名されたケースは何回あるか。
また、投手を1位から3人固めたことのないチームはどこだろうか。

以前書いたように、1位から野手を3人以上指名されたのは
ここ10年間でわずか3回。
2010年オリックス、2012年広島、2015年楽天だ。

続きを読む

上位指名を3位までとした場合の投手・野手率

 

クイズタイム

NPBのドラフトで「上位」というと、
だいたい2位までを言うことが多い。
これまでに指名人数が4人までの時代(ちょうど半分)や
6人までの時代(上位・中位・下位で分けられる)、
上位2人まで逆指名・自由枠の時代
があったので、こういう慣習が出来たのだろう。
ただ現代の指名人数を見てか、
たまに上位指名を上位3人まで見る人も中にはいる。

ではここで問題。
第1問。2008年以降のドラフトで、
上位指名の野手指名数は、セリーグパリーグどちらが多いでしょう。
上位2位までの「上位指名」と3位までの「上位指名」を見た場合、
両方で答えなさい。
なお、その数は実際に入団した選手数とし、
プロ入りからしばらく後に野手へコンバートされた投手は野手として数える。
第2問。2008年以降のドラフト3位までの「上位指名」で、
野手の指名が最も多いチームと少ないチームはどこか答えなさい。
ちなみににも書いたが、
2位までに野手の指名が最も多いのは巨人、
最も少ないのは中日と西武だ。

セ・パの「上位」野手率

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最初のクイズの答えは
一応「2位まではセリーグ、3位までならパリーグ」になる。
ただし、実は両リーグにはほとんど違いがない。
投手からのコンバートはセリーグが2位に1人、
パリーグが3位に2人いるので、
入団した選手の数はセ・パ全く同じ数字になる*1
今年も交流戦の勝率はパリーグが優勢で、
「上位で野手を多く指名するチームほど強くなる」とされる
ドラフト評論の鉄則ではありえないはずのことだが、
現実はこうなのだ。

3位までの野手指名数が最も多い・少ないチームは

今度はチーム別。
まあさっきのヒントから
「ヒントにあった3チームではない」と思った人は多いだろうが、
それにしても答えは予想外なチームではないだろうか。

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最も野手指名が多いのは阪神
最も少ないのは広島だった。
阪神はコンバートされた一二三慎太を考慮しても
指名数は14人になり、全チームトップは変わらない。
そして2位の13人はこの2チームになるが、
オリックスは佐野皓大のコンバートがあるため、
指名した当時の野手数は楽天が単独2位となる。
楽天は投手偏重ドラフト」のはずじゃなかったのか。

また、2位までを投手で固めるチームは、
3位で野手を獲りに行く傾向が非常に強い。
つい最近「上位で野手を獲っていない」と叩かれていたソフトバンク*2
現在4年連続で3位に野手を指名しているし、
西武と並んで2位までの野手指名が最も少なかった中日にいたっては
3位指名が6年連続で野手になっている。
これは逆の場合も同じで、
巨人は3位が一昨年まで4年連続で投手、
広島も現在4年連続で3位指名は投手だ。

Conclusion

こうやって見ると、得られる結論は一つだ。
ドラフト上位で野手を多く指名すること自体は、
その後のチームの強化はおろか、
得点力増加とすらも何の関係もない。

いくら野手の育成には時間がかかると言っても、
打線の強化とドラフト上位指名数が結びついているチームが全く見られないのだ。
「チームを強くするためにとにかく上位で野手を獲れ」という主張は
はっきり言ってナンセンスもいいところである。
それどころか、
今年の両リーグ得点トップの2チームが
最も3位までに野手を指名しないチームになっている。
さらにリーグ戦では調子が上がっていないが、
今年の交流戦で最高勝率を残したヤクルトも
野手指名数ワースト2位である。
逆に、今年に限って言えば現在得点力両リーグ最下位の2チームが
3位までの野手指名数トップ2に入っている。
この現実と「上位で野手を獲ればチームを強くなる」の幻想を
どうやってつりあわせるつもりなのだろうか。

ただそれ以上に言えることがある。
それは、
「各チーム3位指名までの投手・野手比率が驚くほど近い」
ということだ。
全チームの指名数の差が2位までと3位までで全く変わっておらず、
やや多い阪神とやや少ない広島、ヤクルト、西武以外は
全チームが11~13人の狭い範囲に固まっている。
現在のNPBではこの18:12が、
3位までに指名される投手:野手の平均比率ということになる。

これは「ドラフトの指名順位は、チームにとってはあくまで相対順位」
であることと関連している。
無理に急いで上位で指名しなくとも、
狙っている野手は下の順位まで残ることが多いという意味でもある。
そういった駆け引きの様子がここからはうかがい知ることができる。
ドラフトの指名順位は
現実の契約金と年俸に順位が直結する選手には順位をあれこれ言う権利があるが、
彼らと何も関わっていない外部の評論家が
「野手を上位指名しないから弱い」
「その選手は上位指名される器ではない」
だのと批判できることではないのだ。

*1:指名はパリーグが1.5人多い。拒否した長野久義と二刀流の大谷翔平を追加した場合の話だが。

*2:しかもホークスの場合は昨年清宮幸太郎、安田尚憲の抽選を外しているので「獲りたかったが獲れなかった」側面も大きい。
まさか普段よく「この選手は上位で獲る選手じゃない」と批判しているのに
「(もっと下でも獲れる野手を)繰り上げてでも上位指名しろ」とでも言うつもりなのか?

ロッテ即戦力指名についての補足

コメント欄に対する返信がかなり長くなりそうなので、
新しく記事を作ってみようというのが今回の話。
ちなみにコメントを承認制にしているのは、
一度無制限許可制にしてみたら、
毎日英語のスパムだけが書き込まれるようになったから。

 

「5年先、10年先を見据えろ」とは

ドラフトの世界ではよく、
「5年先、10年先を見据えた指名をしろ」と言われる。
ただしその後には必ず「だから高校生を指名しろ」と
付け加えられるのだが。
そんな中でロッテは2009~13年にかけて
高校生をほとんど獲らない大卒・社会人主体のドラフトを展開した。
5年間で本指名24人、育成5人を指名し、
そのうち高校生は計6人。
本指名ではたったの4人しかいなかった。
そのためこの時期のロッテは
「明日のことしか考えない」などと叩かれ、
時には「経営をする気がない」とまで言われる有様だった。

代わりに指名できた選手は誰か

ここでは、2009~13年ロッテがどういう指名をしたのか。
そしてもしロッテの指名が間違いだったとすれば、
代わりに誰を指名すべきだったのか、
どの当たり選手が指名できたのかを検証してみよう。
他チームの当たり選手については実際の順位ではなく、
「次のマリーンズの指名までに指名された選手」を同じ順位で記載してある。

2009年

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もし荻野に入札せず他の選手を指名した場合、
単独で確実に獲れたのは岡田と加賀になる。
菊池、筒香、今宮、今村は競合になっていたので獲得できる保証はない。
ちょっとびっくりさせられるのは2位以下で、
ロッテの指名選手、特に大谷、清田より当たっている選手が少なすぎる。
中でも大学生は悲惨な状況。
高校生も秋山、原口と、使えるようになるまで7~8年かかった選手しかいない。
となると、代わりに獲っておくべきだった選手は社会人になる。
やっぱり実があるのは即戦力ドラフトじゃないか。

2010年

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この年はロッテとしてもほぼ外れになっている年。
「だから高校生を獲っておけば」などという声もあがりかねないが、
1位で大当たりの山田や西川を獲得するには伊志嶺のくじを外さなければならず、
以降の大当たりは大学生外野手の柳田、秋山になる。
この年本指名された高卒で戦力になっていると言えるのは中谷、塚原、中崎で、
そのうち中谷と塚原は8年目の今年まで見てもちょっと物足りない。
あとは育成に千賀がいるが、
これで「だから高校生を」とは、とてもじゃないが言いづらい。

2011年

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1位は外れ指名の選手が安達以外厳しい年で、
一番人気だった藤岡は物足りないが
他の外れ指名よりはずっといいというレベル。
2位の中後も巷では1位評価をされていた選手なので、
この指名への批判はもはや自分の評価を忘れた後付けでしかない。
なおこの年のロッテはウェーバー順1番のため
3~4位以降がこのような表記になった。
他球団の4・5位には当たり選手がそれなりにそろってはいるが、
彼らを獲るには代わりに
将来の正ショートかクローザー・セットアッパーのいずれかを逃さなくてはならない。
5位以降ももっと多く選手を指名していれば、
と言えるのは6位以降の5選手ということになる。
そのうち高校生は上沢だけ。

2012年

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この年は高校生投手がかなり厳しく、
大谷か藤浪の抽選に当たらなければ獲っても現状大外れになっている。
そして当のマリーンズは藤浪を入札し抽選で外した
高卒野手は鈴木と田村以外が6年目の今年もあまり良くない状況で、
ロッテはそのうちの1人田村を確保している。
2位は前年同様に前評判、特に識者の評価が非常に高かった川満である。
これだとロッテの指名を批判するのはいいが、
同時にもう一つ疑ってしかるべきものがあるんじゃなかろうか*1

2013年

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1位は抽選で獲得した石川が当たりの部類で、
石川以降ロッテの2位までに残っていた主だった選手も大半が社会人である。
2013年も正直なところまだ物足りない指名に終わっているが、
野手は上林、山川、田中と大物が高校・大学・社会人に1人ずついて、
それに次ぐのは小林。
以下若月やここには挙げなかった梅野隆太郎、岡田雅利などやけに捕手が多く*2
それ以外は西浦直亨と井上が並ぶといったところか。
この年のマリーンズの野手指名はまだましな部類に入るようだ。
珍しく当たり年になっている高校生投手は
ロッテも二木を獲得した。
のはいいんだが、5年目の今年は
砂田以外の高卒投手の調子が4人ともかなり悪い。謎だ。

代わりに目先の18歳を獲っていればどうなったか

「5年先、10年先を見据えろ」というのは
ドラフトでの目標としては重要なことなのだが、
実際には
「実働までに時間のかかりやすい高校生と野手を獲らせる」
「大学生・社会人を中心とした指名を叩く」
ための手段として用いられることが多い。
その自覚がないまま用いている人もいるだろうが、
この言葉はもはや手段と目的が逆転しているのが現状だ。
もう一つ言うと、
マリーンズファンがこの批判を発した場合の本音は
「ロッテが指名した高卒以外の当たり選手はいらない。これまでの功績も一切認めない」 ということだろう。
批判の矛先をざっと見る限りでは、
清田、鈴木、益田あたりに特にそのヘイトがたまっているようだ。
ただし彼らの代わりに高校生ばかり獲っていたらどうなっていたかというと、
当たり選手をミスなく獲れるだけ*3獲っていても
今年Aクラス争いができたかどうかはわからない。
ただし2011年から6~7年連続Bクラスはほぼ確実だろう。
上に挙げた3選手を含めたマリーンズ指名の当たり選手や
他のチームで当たった大卒・社会人の獲得はほぼ絶望的だ。
二遊間、特にショートはクルーズ以外人材がおらず*4
外野は2014、5年頃まで角中、岡田で何とか頑張らせるしかない。
投手は「早く出てきたが半端で短命」「最近やっと出てきた」タイプが大半で、
全てを結集しても「毎年少ない人材を使いつぶす」のが関の山だ。
その人材の数もここ数年のロッテよりさらに劣る可能性は高く、
年齢以外に勝っている部分が見当たらない。

改めて書くと、2009~11年のドラフトは、
2013、15、16年のAクラスにそこそこ貢献した指名になっている。
高校生偏重の指名では、5年後に「まだ期待したい若手」が何人かいる程度だ。
今から数年後の「10年後」となるとさすがに厳しそうだが、
数字通り「5年後の将来」につながった指名だった。
むしろせっかく指名しても育ちづらい高校生ばかりを獲る指名は、
「目先の18歳」を追い求めただけにすぎないのだ。

*1:ロッテの育成に全てをなすりつける人が大半かもしれないが

*2:つまり田村がいて吉田・江村らも控えているロッテでは必要がない

*3:忘れてはいけないのが、1つの順位で選手は1人しか指名できないという事実だ

*4:ここは「2016年開幕から平沢を固定していれば今頃坂本以上になっていた」と思っている人が多いのかもしれない

大学生投手の連投・2018春東京六大学

 

前回の東都に続いて、今回は東京六大学

今回も全ての連投を取り上げたので、
中にはどう考えても酷使とは言えない連投も入っている。
なので、「これは酷使と言われても仕方ないだろう」という連投は赤字
「酷使と言えるかどうかは微妙なライン」が青字
それ以外のごく普通の連投は黒字のままにしてある。
あと、「連投じゃないから中1日なら酷使じゃない」というわけでもないぞ。
データは東京六大学野球連盟HPから。

最も酷使が目立ったのは

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二連続先発は早稲田大の小島以外あまりなかったが、
長いイニングでの連投はかなり多い結果になった。
全体的に、東都よりも1年生の連投が目立つ印象がある。
優勝した慶應大は先発とリリーフをしっかり分けていたが、
この高橋佑と石井もロングリリーフが時々あったのと、
イニングに対して球数が多くなってしまった試合があったため
このような結果になった。
そんな中で圧倒的に酷使が目立ったのは東京大。
単純に投手が打たれる、代わりの投手の頭数が足りない、
それがこの結果につながったようだ。

また、東都一部・二部に比べると連投の数が圧倒的に多い。
これは投手起用の違いではなく、
おそらく日程の違い*1と、
雨天中止の試合がより多かったことが理由と考えられる。

ガイドラインの意味

それにしても、正直なところがっかりさせられることがある。
今年3月に首都大学リーグで投球数ガイドラインが定められたことが話題になった。
ところが今季は東京六大学も東都も、
実際にあのガイドライン基準を突破する事例が発生した。
正直なところ、私はこの連投そのものをここで批判するつもりはない。
それよりも、「うちのリーグではそんな無茶な連投は起こらない」と発言した
両リーグの事務局のほうが問題だろう。
というか、現行のリーグ戦日程と勝ち点方式を用いている限り、
このような連投は必ず起こるはず。
自分のリーグの実態と原因を全然把握できてないのだ。

この両リーグに限ったことではないが、
もう一つ苦言を呈したくなるのはやはりファンか。
マチュア野球のファンには、
「トーナメント(=1敗の価値が絶対の形式)じゃないと真剣味がない」と
言い出す人があまりにも多すぎる。
彼らにとっては、トーナメントではないリーグ戦でもなんとか許せる方式
現行の勝ち点制なのだろう*2
大半のリーグで勝ち点制をやめられない、
実際にやめてもすぐ元に戻す理由の一つは、
どうもそこにありそうだ*3
穿った見方をすると、
こうした人たちにとって「真剣な野球」とは、
「投手を徹底的に酷使して使いつぶす野球」なのかとすら思えてくる。

*1:東都はGW中に第3戦を中1日置く日程があった

*2:それでも「勝ち点制だから真剣じゃない。面白くない」と大学野球を批判する人が後を絶たない

*3:地域的に別な伝統が作られていればまた話は違うようだ。さすがに札幌学生や北海道などで勝ち点制にしろと言う人はほとんどいないだろう

大学生投手の連投・2018春東都

 

今回は、先日の最終節で
東洋大亜細亜大の両先発三連投が少し話題になった
東都大学野球での連投を簡単に取り上げてみたい。
ただし先に書いておくが、
このデータは大学野球の監督をただ批判するためのものではない。
この点はくれぐれもご承知いただきたい。
また、今回のデータは全ての連投を取り上げたので、
中にはどう考えても酷使とは言えない連投も入っている。
なので、「これは酷使と言われても仕方ないだろう」という連投は赤字
「酷使と言えるかどうかは微妙なライン」が青字
それ以外のごく普通の連投は黒字のままにしてある。
データは東都大学野球連盟HPから。

東都一部

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選手個人としては、
唯一首都大学リーグのガイドライン基準を超えた(5/29・30)
亜細亜大・中村稔弥が目立つ。
一方のチームで見ると、
今季は投手陣が崩壊した中央大だろうか。
特に最初の節で投手陣の再編を迫られる大量失点を繰り返したことが、
この連投の多さにつながってしまった。

東都二部

二部の方も見てみよう。
なお、今日プレーオフが行われていた三部や四部のデータはとっていない。

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チームによって差が大きいが、
一部のチームよりも選手層が薄いためなのか、
先発・リリーフでの連投が一部よりもかなり目立つ結果になった。
また、イニング数こそ少ないが
1回あたりの球数が増えすぎたことで、
結果として投球数の視点では酷使に近い連投になってしまったケースも
ちらほら見られる。
そんな中で二部優勝を決めた日本大は、
他のチームよりも無理な連投の数を抑えて優勝に結びつけたようだ。
その必要がないほど今季は投打ともに安定していたと見るべきなのだろう。

成功しているのに注目されないドラフト・育成戦略

 

に「成功していないのに『成功』とされるドラフト戦略」を取り上げてみたが、
今度はその逆で、「実際には成功しているのに成功とはみなされない、
あるいはほとんど注目されないドラフトや育成の戦略」
について見てみよう。
似たようなケースには、大成功を収めている場合だけではなく、
「失敗とまではいかないのに大失敗と叩かれている」パターンもある。
たとえば前回挙げた「失敗例」の中ではロッテが該当する。
ロッテの場合は2年連続Aクラスの原動力の一つになっており、
「5年先の将来」につなげた指名としては大失敗とまではいかないはずなのだ。

西武の3位野手指名

先日も書いたように、
西武は投手の上位指名がうまくいってない代わりに
3位で野手を指名する戦略が当たりに当たっている。
この10年間で3位に野手を指名したのは6回あるが、
主力になっている選手が多い。
また、指名選手の出自がバラバラで、
高校生2、大学生3、社会人1と万遍なく指名してる。
上位指名の野手は半数以上が高校生になるため、
大学生や社会人でも逸材が残りやすいという側面はあるかもしれない。
しかしこうした戦略も、
最近は富士大の存在がクローズアップされることもでてきたので
全く取り上げられないというわけではないようだが、
それほど見ることはない。
それどころか人によっては、
唯一1・2位ともに野手指名して現在大成功となりつつある
2013年(森友哉山川穂高)だけが理想に掲げられたりと、
どうやらこの戦略を生かそうと考える評論家やファンはほとんどいないようである。
逆にプロ球団はというと、
そもそも3位までに野手を1人も獲らないケースがあまりない*1ので、
「3位に野手」は参考にする云々という話にはならない。
評論家やファンからすれば「他の(うちの)チームもやってるから」と
いうことなのかもしれないが、
それがなぜか「西武を見習って上位で野手をたくさん指名」となる理由、
コレガワカラナイ。

広島の主力野手の出自

今年も首位を快走しているカープの場合、
育成を標榜するチームだけあって、
何かにつけてほめそやされている。
それなのに、なぜか全く無視されている部分もまた少なくない。
1990年代にはあまりうまくいかなかったが、
最近再び力を入れるようになった外国人選手の育成もその一つだろう*2

そんな外国人選手の育成がじょじょに当たり始めているカープ野手陣。
高校生ばかり指名して主力に並んでいるかのような見方をされることも多いが、
実際にはかなり多岐にわたっている。
まず高卒選手で固定されていたのはセンターの丸佳浩
ライトの鈴木誠也、今年は不調だがサード安部友裕がいて、
併用だとキャッチャーの会澤翼もここに入る。
一方でこのチームは大卒と社会人出身の野手にも
田中広輔、菊池涼介松山竜平など、
比較的最近の指名選手からも主力は多い。
特に二遊間がどちらも大卒と社会人になっている
だが大卒選手の場合は、菊池涼介だけしか注目されず、
しかも菊池の指名を褒めることよりも
東京六大学や東都叩き*3か、
準地元の中日叩き*4のために用いられている。
社会人出身の田中広輔獲得も指名が噂されていた巨人批判に使われるぐらいだ。
活躍している選手自体は当然持ちあげられているのだが、
実際に指名した編成やスカウトの眼力が褒められるのは、
苑田部長か松田オーナー個人が取り上げられる時ぐらいである*5
「高校生・大学生・社会人のバランスが大事」と言う人に
「だからとにかく高校生を指名しよう」と言う人はいても、
「だから大学生・社会人も指名しよう」と言う人は存在しないのだ。

広島の高校生投手

もう一つカープについて取り上げよう。
高卒投手についてだ。
このチームの高卒投手は先発が少なく、リリーフが非常に多い
それも、中﨑翔太のような下位指名の選手だけではなく、
上位指名の今村猛中田廉もリリーフで活躍しており、
今年は2年目のアドゥワ誠も台頭している。
逆に先発はほとんどが大卒、それもドラフト1位で指名した即戦力が大半だ。
ただし、この流れは言い換えると、
先発では高卒があまり育っていないとも言えてしまう部分ではある。
最近の選手で少し台頭したのは今年はいまいちな中村祐太だけで、
少し前の齊藤悠葵今井啓介などは結局うまくいかなかった。
また大卒投手でも素材偏重と言えた中村恭平などはいまいちで、
昨年台頭した薮田和樹も今年は制球難に陥っている。

これはカープに限らず球界全体の特徴なのだが、
あまり制球の良くない選手ほど先発として育成しようとする傾向が見られる。
この点でカープの場合は、
リリーフなら使えると判断した投手への転向の決断が早い
と言えるのかもしれない。
ただ「高校生=先発、大卒・社会人=リリーフ」で一括りにしようとする傾向が
極端に強い日本球界において、
カープのこの投手構成は非常に画期的なはずだ。
ところがドラフトの世界では、
彼らが主力になっていることは盛んに取り上げられても、
彼らがリリーフであることは誰も伝えない。
それどころか他のチームだと、
「安易にリリーフにして大器の成長を阻んだ」と批判を浴びることが
圧倒的に多い。
「高卒=エース(+クローザー)、大学・社会人=中継ぎ(+ローテの穴埋め)」は
評論家がとにかく高校生を獲らせる根拠の一つとなっているため、
今のカープは都合が悪いから無視しているのか。
そう邪推してしまう現状になっている。
「今のカープだから叩かれずに済んでいる」と言ったほうがいいのかもしれない。

*1:各チーム10年に1回ぐらいでしかない。野手偏重よりは多いが、その程度なのだ

*2:ドラフト評論家には、チームの編成はドラフトが全てで、外国人、トレード、FAなどをあくまでおまけのように考える人が多いように見える。大御所は特にその傾向が強い

*3:ただし同じ東海地区・岐阜出身の野間峻祥や九州六大学出身の松山らは無視される

*4:ただし中日が大学生や社会人に注目すると、地元や準地元の選手でも激怒する

*5:苑田部長や大瀬良大地を引き当てた時の田村スカウトなど、熱意や誠意といった部分はそれなりに取り上げられているのだが