スポーツのあなぐら

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ドラフト「一番人気」のおさらい ④まとめ

一番人気入札に「パリーグ優位は」多い

これまで見てきた一番人気をまとめるとこうなった。

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なるほど、たしかに一番人気入札は
パリーグチームのほうが多いケースのほうが多いようだ。
ちなみにチーム別にみるとこうなる。

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合計すると少しセ・パの差が詰まっている。
これは、セリーグパリーグより2チーム以上多い一番人気の競合が、
パリーグ優位のそれより多いのが理由だろう。

大競合ほど強いパリーグの運

しかし、パリーグは向かうから抽選に当たると単純には言えない。

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パ優位、セ優位の双方でもパリーグのほうが勝率が高いが、
それ以上に奇妙なのが同数対決の場合。
1-1ではセリーグ側の分がいいのに対し、
2-2以上になるとパリーグが圧倒的に分がいい。
特に3-3と4-4は4回全てパリーグの勝利になっている。
また、セリーグが圧倒的に劣勢な1-3、2-4をセリーグが引き当てたのは1978と79年、
逆にパリーグが3-1の競合に勝利したのは2001と14年。
先ほどの3-3、4-4の競合は1990、2007、2009、2010年。
最近になればなるほどパリーグの運が際立ち始めている、というか
1979年を境にセリーグの運が枯渇してしまったかのような印象すら受ける。
もっと言えば、同数か劣勢でもセリーグが勝利した4回中3回は阪神だが、
その阪神1984年を最後に2012年まで1位抽選を外し続けた。
それなら単独指名を狙うほうがよほど大きなリターンが見込めそうに見えるのだが。

ちなみに外れ指名も追加した総合の数字はこうなっている。

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こちらでは同数以上にパ優位とセ優位それぞれの勝率に大きな差が生じている。
一昨年の佐々木千隼競合の結果もあって、その差がより鮮明になってしまった。

ドラフトの現場の苦悩

2008年以降のパリーグセリーグの運には、
普通では考えられないほど極端な偏りが生じている
(1位:パ17-22 .436、セ8-33 .195、外れ含:パ24-32 .429、セ17-45 .274)。
もはやセリーグにとっては、
一番人気に向かうこと自体が外れ1位指名を強いられているようなものになっているのだ。
ならば単独なら確実に獲得できた選手を外れ指名で逃すよりも、
その選手を単独指名で獲得するほうがよほど大当たりが見込めるではないか。

昨年のドラフト後の週ベでは、元巨人スカウト部長の中村和久氏が
「競合に向かうとファンは喜ぶが、外すと大変なのは『現場』」というようなことを書かれていた。
ドラフト評論の世界では「現場」というと
「一番人気(の高校生)に特攻したい編成を自分の保身のために押さえさせる監督・コーチ」
と解釈することがほとんどだが、
中村氏の言う「現場」とは「編成の『現場』」と解釈するべきだろう。
目の前の一番人気を外すことで5年後、10年後に向けた
チーム編成の目算が崩壊する
ことを危惧したものと考えられる。
また、今回紹介した中には何度か
「編成の意向を振り切って監督が一番人気に特攻させる」様子も紹介した。
「編成は自分と同じ手法をとろうとしていたのに監督らがそれを阻止した」
という評論家に時折みられる考え方は思い上がった思い込みにすぎないことがわかる。

こうして見ていくと、外部から一番人気の競合をただ楽しみ、
高校生を育成できなければチームを叩けば済む一部のドラフト評論家とは違う、
編成の現場の苦慮が見えてくるだろう。
少なくとも、抽選を外しても何のリスクも負わない外野が、
一番人気に向かわない選択をしたチームを批判できる要素は全くないのだ。