スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

NPBにおける野手・投手起用人数の変遷

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今回は選手起用の時代の変遷を見ようという話。
前置きは抜きにしてさっそくいってみよう。

 

一軍主力野手・投手の人数

主力の条件は

  • 野手は100打席以上または全試合1/3以上出場
  • 投手は先発10試合以上または20試合以上登板

とした。
この条件には反論がある人が多々出るかもしれない*1が、
今回はこの条件とする。
対象となるのは、12チーム2リーグとなった1958年から。

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野手の人数は長らく増えたり減ったりを繰り返しつつ微増という程度だったが、
最近はやや増加傾向にある。
それでも以前より1人増えたかどうかだ。
それに対し投手は80年ごろまでそれほど大きな変化ではなかったのだが、
80年代後半から急激に増加しはじめ、
2000年代前半には現在とほぼ同じ水準に達した。
「試合数の増加が影響しているのでは?」と思われる人もいるだろうが、
試合数の増えた1997年、2001年、2005年にそれほど影響が出ているようにも見えず、
かつてセリーグが140試合、パリーグが150試合あった
1963~65年(65年はパリーグも140試合)にもその影響を見出すことが出来ない。
現在の選手起用、特に投手の起用が大きく変化したのがよくわかるだろう。
また投手は先発投手がそれほど増えておらず、
リリーフ投手が圧倒的に増えている。

なお11と17に線が引いてあるが、
これは以前あるドラフト評論家が
「一軍は野手17人、投手11人でほぼ一年固定されている」
と書いていたための比較用である。
こうしてグラフで見ると実態は明らかで、
野手は主力17人に達する年はそれほど多くないが、
一方の投手は1990年代後半に主力人数が11人を上回り、
現在もこの人数に戻ったことはない。
いったいいつの時代の話をしていたのだろう。

一軍出場した野手・投手の人数は

では一軍に出場した全野手・投手の人数はどうなっているだろう。

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 こちらは野手の人数が5人程度増えているが、
投手はそれをはるかに上回るペースで増えていき、
最近はとうとう野手と投手の数がほぼ並んでしまった。
支配下登録の選手は故障以外の理由で一軍出場しないケースのほうが
少なくなってきていると言える。

余談

実のところを言うと、最初にこれらの数字を調べたときは
日本一あるいは強豪チーム限定で、
条件も野手は「100打席以上または全試合の半分以上出場」、
投手は「先発10試合以上または30試合以上登板」の予定だった。
ただこの条件だと、
投手は昔の投手に先発10試合未満で30試合以上登板する選手が少なすぎた
ので条件を緩和した。

野手の方は最初これで何とかなるかと思っていたのだが、
「やはり控え選手の『全試合半分以上出場』は条件が厳しすぎるのでは」
という考えがずっと頭をよぎっていたため、
最近全チーム分を調べなおす際に
改めて条件を全試合の1/3以上に変更したという経緯がある。
ところが、そうやって調べなおして非常に驚かされたのが、
最近の各チームよりも昔の起用の方が
「全試合の1/3以上1/2未満出場かつ100打席未満」
を満たす選手が圧倒的に多い
ということだった。
この狭い条件に当てはまる選手の数は
最近だと1リーグに多くて3、4人程度だったのだが、
これが昔は1チームに2~4人は出てくるのだ。
しかも現在の143試合を130試合に換算した90打席前後にも
達していない選手が非常に多い。
ということは、昔の野球はスタメンと控え選手(代打・代走・守備固め)の役割が
現代よりもはるかに細分化・固定化されていたということなのだろう。
そのために昔の主力野手数は非常に多いものになった。
一方で現代の野球は昔よりも
控え選手に打席数を与えられる機会が増えているということでもある。

現代野球に必要不可欠な存在

このグラフを見てもう一つ、奇妙なことに気づかなかっただろうか。
一軍主力人数が一軍登録枠の28人を超えているのだ。
主力人数が初めて25人を超えたのは1984年、
26人に達したのが89年で27人を超えたのが99年だったのだが、
翌2000年に28人を突破するとそれ以降で28人を下回ったのは
2002、05、10年の3回しかない。
2002年と05年はその前よりやや投高打低になったのが理由と思われるが、
2010年はむしろ打高投低のためか野手人数が減ったことが影響している。
そして2012、15年は30人を超えた。
この2年はむしろ野手の起用数が増えたのが理由となっている。
投手の人数は投高打低になっても減ることはなくなってきた。

28人を超えているということは、
現代の野球ではいかに一・二軍を往復させてやりくりするかが大切、ということになる。
一軍主力が13人すら超える投手は特にそうなるだろう。
また野手のほうも、ただスタメンを揃えるだけではなく
控え選手の層を厚くすることが重要になっている。
すなわち現代野球では9人野球に特化するのではなく
リプレイスメントレベルをいかに底上げするかが求められていると言えそうだ。

*1:特に投手をイニング数で見ない点は批判対象になりそうだ