スポーツのあなぐら

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上位を投手で固める指名

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クイズタイム再び

に1位から野手を3人以上連続で指名するケースを紹介したが、
今度は反対に、1位から投手を3人以上連続で指名するケースを紹介しよう。

では問題。
2008年以降の10年で、
投手が1位から3人連続で指名されたケースは何回あるか。
また、投手を1位から3人固めたことのないチームはどこだろうか。

以前書いたように、1位から野手を3人以上指名されたのは
ここ10年間でわずか3回。
2010年オリックス、2012年広島、2015年楽天だ。

 

答え合わせ

それでは正解発表。

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というわけで、投手が1位から3人連続で指名されたのは合計14回。
投手指名を1位から3人以上並べたことがないのは、
阪神、横浜、中日の3チームだった。
言い換えれば、パリーグはいわゆる「投手偏重指名」を
全チームが1回以上行ってきたことになる。

もっとも、野手偏重の指名と比べると、
2015年広島、日本ハム、2012年の楽天のように
最終的な人数が投手・野手のバランス型になっているケースもある。
2012楽天にいたっては本指名の投手・野手数が全く同じだ*1

もう一つ、1位が野手で2位から投手を並べた場合はどうだろう。

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これはこの10年間で6例あり、
2位から野手を並べるケース3例の倍になる。
こちらには阪神、横浜、中日も1回ずつ入っている。
ただし、2014年広島、2016年阪神は投手偏重指名とは言えない。
この中で特に際立っているのは2015~16年の2年連続で投手偏重にしたロッテ、
2016年が極端な投手偏重、翌年が極端な野手偏重になった巨人。
ロッテは2009~2014年の投手指名数そのものが少ないのが最大の理由だろう。
巨人は1位が結果的に野手・投手になったあとで投手・野手オンリーの指名を敢行した。
この2年の本指名の合計数は投手7、野手8。

「『投手偏重』は悪」なのか

何度か書いたように、
「上位から野手を並べる指名」は絶賛されることが多い*2が、
「上位から投手を並べる指名」は評論家に限らず酷評の対象になりやすい。
中にはあまりうまくいったとは言い難い指名もあるものの、
一方で大当たりした指名も見られる。
しかし全チームでこうした指名が一番多いのが広島、
パリーグは全チームがこうした指名をしたことがある、
といった点からも
投手偏重指名を「目先の勝利にこだわってチームの将来を見ていない」
と断言してしまう理由が全く見えてこないし、
さっきも書いたように
最終的な指名が投手偏重ではないケースもちらほらある*3

これは投手が上位で獲りあいになる反面、
野手は中位以下でも指名したい選手が残るから
だろう。
1998~2000年頃から上位指名は投手の指名が増えており、
現在は少し落ち着いてきた感もあるが、
それ以前の水準には戻っていないのが現実だ。
この状況が変わるには、
上位野手主義者の望み通りに
NPB全体が投手を後回しにして野手から指名をしていく」スタイルに変わる
のが必須条件になる。
そのためには「アマチュア球界全体が極端な打高投低になる」*4
NPB全体が再び中6日未満の先発完投型になり、必要な投手人数が減る」
などといった変革が必要になるのだが、
現実的にありえなくもないのは
フライボール革命が全球界を席巻した場合だろうか。
もっとも、金属バットで超のつく打高投低だった時代の社会人は
野手の指名が極端に優先されたわけではなく、
最近長打を打つ野球が目立って増えてきた大学のリーグも
実際にはそこまで打高投低になっているようには見えない。
NPBのドラフトにいつ野手偏重の時代にくるのかはわからないが、
少なくとも、もうしばらくは起きる気配はなさそうだ。

*1:ただしここでは柿澤貴裕を野手として数えている。また育成では宮川将を指名しているため、育成指名を含めると投手のほうが多い

*2:評論家によって評価が分かれることはあるが

*3:逆に野手偏重の場合、バランス型指名になったのは1996年ダイエーだけ

*4:つまり野手の好成績者が激増し、投手の好成績者が減る