スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

2018年ドラフト各チーム補強ポイント(前半戦終了時点)

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※2018年ドラフト直前版を上げてあります。
楽天、阪神、ロッテ、中日+α編。
オリックス、横浜、日本ハム、巨人編。
ソフトバンク、ヤクルト、西武、広島編。

(7/22追記あり

オールスターが終わって
後半戦が始まってしまったのだが、
現時点でのドラフトでの補強ポイントを書いてみる。
前にも書いた通り、
私は私で考え方がかなり独特と言うか偏屈なほうだとは思うので、
あまり目くじらを立てずに読んでいただけると幸い。

 


今回は下位チームからみてみよう。

東北楽天

年齢的にも衰えが目立ってくるであろう嶋の後継候補、
打撃・守備ともに不調が続いている野手陣、
四球病に悩まされる投手陣と補強ポイントだらけになっている。
二軍にもすぐ一軍に取って代われる選手はまだ少ない。
ただ今年のドラフト候補にもそうした即戦力は少ない上、
全体的に若手の数自体は多いので切るのが難しい。
しばらくは若手・中堅が一軍不調者のレベルに近づくのを待つ必要もありそうだ。
また今年は戦略室の存在がやり玉にあがることがさらに増えたが、
ここをただなくしただけでは昔ながらの主観一辺倒に戻るだけ。
察するに『マネー・ボール』出版から数年間のMLB
こんな対立構造だらけだったのだろうか。

東京ヤクルト

パリーグに強く、セリーグに弱いという異例の事態になっている今年のヤクルト。
このチームを分析すれば、
ただの「パリーグは強い、セリーグは弱い」ではない
それぞれの長所、短所が見えてくるかもしれない。
それはともかく、現在のヤクルト一軍は山田と西浦以外がもうベテランの領域。
若手は開幕からしばらく使われ続けた廣岡なども含めて、
まだ良くて一・二軍往復レベル。
ただ二軍の内野が若いことは若いので見切るタイミングは難しい。
ドラフトでは一年目絶好調の村上の外野適性も考慮に入れつつ
指名していくほうがいいのではないか。
投手は、とにかく「一軍で使える」選手を獲ろう。
「ただの素材型高卒」の大量指名は
「プロの一軍では使えない即戦力」大量指名と何も変わらない*1

千葉ロッテ

最大の補強ポイントはセンターと二遊間。
高校生・大学生・社会人関係なくそれぞれ複数の選手をかき集めたい状況だ。
現実にはそこまで候補の数は多くないので
2、3年越しで何人かの選手を集めていきたい。
二軍の世代交代もしっかり進めつつ、
ここ2年の偏重指名がさほど効果を発揮していない投手も入れ替えていこう。
このチームでもう一つ厄介なのは、ツイッターでも何度か書いた
ファンやドラフト評論家の「ショート平沢」への異常な期待感。
「一軍でスタメン固定」すれば、「過去の二軍成績をはるかに上回る成績」を
「ショートで残せる」はずだ、と考えている節がある。
平沢のバッティング評価の過剰な高さは3年前のドラフトから変わってないのだが、
その評価を活かすためのコンバートも視野に入れつつ
多角的な視点で成長を見ていきたい。

中日

今季は平田が絶好調だが長打力は外国人頼み。
この長打力の補強を重点的に行いたくなるが、
一方でセンターラインも極度の人材不足。
フレッシュオールスターに出た2人もまだまだ時間がかかる可能性大で、
まずはここに2、3年後を見越した即戦力を入れるのが先だろう。
しかしそれ以上に深刻なのが投手陣。
PF補正も考慮すると12球団ワーストが続いているのは間違いない。
ナゴヤドームに頼った素材偏重指名のツケが如実に出てきている。
なのに昨年はまた高校生に走ってしまったわけだが、
今からこの路線を続けて、
つぶさずに先発・リリーフ1年分の10数人を育て切る方法は
果たしてあるだろうか。

オリックス

ここ1、2年で再び改善の兆しが見える投手陣だが、
数年単位で見れば投手は水物。
最近のオリックスも2014年から一旦崩壊後、再度持ち直してきた経緯がある。
即戦力の補強は適宜行わなくてはいけない。
一方で野手の中でも特に緊急性の強かったサードはとりあえず白崎を獲得。
それでもドラフトでの補強は必須で、
年齢差10年もある高校生よりは6年で済む大学生のほうが余裕が作りやすい。
ただ今年はNPBでサードに入れそうな大学生候補が非常に少なく、
週ベで挙げられていたあの選手が現状トップ評価*2なのが実情。
外野も全員が中途半端で人材不足だが、
ここは前評判の非常に高かった高校生が皆伸び悩んでいるのが一因。
彼らの伸びに賭けて今年は高校生を獲っておくのも間違った選択ではないが、
もし「高校生を獲らないからだ」という批判があれば見当違いも甚だしい。

横浜DeNA

今年は二遊間とキャッチャーが例年以上に崩れ、
ここ2年を支えてきたそれ以外のポジションの伸びでも支えきれなくなった形だ。
二軍も人材難のこの3つのポジションは即戦力の補強が急務。
しかし例によって、今年もこれらの補強ポイントに人材は多くない。
高校生で獲ってもいいのは内野の長距離候補と桑原、神里の後のセンター候補、
そもそも登録人数が少ないキャッチャーか。
一方の投手陣はここ数年の上位指名が当たったためか、
他のチームが悪化したことで相対的に良くなったのかはわからないが
劇的に改善しつつある。
ただし投手は一年でも補強を怠るとすぐに崩壊するもの。
現時点では先述の野手の補強ポイントに上位候補が少ないので、
今年も上位指名は投手中心になる可能性は高いか。

福岡ソフトバンク

年齢的にはこれから全盛期に入るはずの今宮も含めて
一軍に不調者・故障者が続出している今年のホークス。
若手・中堅が上林以外ほとんど伸びてこないのがきつい。
今年衰えの目だっている松田の後継は
塚田や高田の中堅の併用で持たせている間に育成するしかないかもしれない。
また、投手陣もかなり深刻。
一軍はHRが多い球場の特性もあってリーグ最下位の数字にまで落ち込み、
二軍は年々「球は速いが制球難*3」の若手が増えて一軍の助けにはならない状態。
監督の投手起用にばかり批判が集まっているが、
二軍の主力を見れば、その最大の原因が高校生偏重路線にあるのは明らかだ。
監督の起用法に問題がないかと言えばそれはそれで、なのだが、
もう少し監督の頭痛をやわらげるドラフト指名も必要だろう。

阪神

打撃・守備とも伸び悩んでいる内野は一、二軍の年齢層がほぼ同じで、
これから全盛期に入るという選手が多い。
なのでこれからの伸びも期待はできるが、
伸びなかった場合は致命的なダメージになるだろう。
即戦力を獲って致命傷を避けるか、
年齢バランスをとるため高校生を獲りに行くかは悩みどころだ。
なお全てを高校生に走るなら、最低あと5年は同じ選手たちで
一軍を回すことを想定しなくてはいけない。
糸井と福留に頼りきりの外野も状況は大して変わらない。
投手のほうは望月、才木の存在で
彼らのような選手の大量指名を求める人が多いと思う。
そんな人たちは、1年目から救世主扱いだった秋山が
1年間働けたのが何年目かをもう一度思い出そう。

北海道日本ハム

清宮が来年か再来年一軍スタメンに定着すれば、
ドラフト評論家はまた「ハムの世代交代は素晴らしい」「高校生野手を上位で」
などと褒めそやすことだろう。
しかし清宮が入るポジションは現在の中田、近藤、アルシアからの交代になる。
戦力向上にはそれほど結びつくものではない。
反面、前から書いているように二遊間はことごとく選手が育っていない。
しかも伸びの悪すぎる選手もまだ若いので切るに切れない。
今後注目すべきは一軍以上にこの「若手」の世代交代と言える。
どこから入れ替えていくか。
投手は大卒・社会人もそれほどうまくいってはおらず、
高校生で上沢と石川直が出てきたので高校生を求める声が強くなるかもしれない。
とはいえ、それで「評論家が好きなフォームをしている高校生」を
ただ増やすということはしないだろう。

読売

ショートを10年以上支えてきた坂本の勤続疲労が顕著になってきた。
ここ3年のドラフトで代替要員は何人か確保してきたが、
セカンドも相変わらず人材難なのでこれら2つのレベルの底上げは難航するだろう。
今年もこれらのポジションの即戦力候補が少ないのも難点だ。
他にも主力が全員30代で構成されている外野も急務である。
そういうとき巨人は坂本という「過去の歴史」を振りかざす人たちが邪魔をしてくるかもしれない。
そしてこれらの対処に「高校生を獲って使えばすぐ埋まる」という主張は、
橋本、立岡や一軍スタメン定着が5年目だった陽で否定されている。
一方で、投手もじわじわと悪化の兆しが見えてきており予断を許さない。
即戦力が必要なのは言うまでもないが、
高校生・大学生・社会人問わず1年に2人以上成功者を出せる
スカウティングと育成の確立が改めて重要になってくる。

埼玉西武

現在全盛期を迎えていると言ってもいい打線だが、
年齢的にも次世代というより5年後への備えが必須になっている。
そういった野手の備えは非常に上手なチームなので、
フロントはその点しっかり対処してくるだろう、
たとえ上位では多く指名しなくても。
その反面、投手はとにかく厳しい。
評判に関わらず素材中心の指名が目立つうえ、伸びが非常に悪い。
契約金の関係もあって、
多くの投手を切って代わりにドラフトで新しい選手を獲るのはきついだろうが、
一・五軍のレベルになっていない選手を5年10年残しても投手難は解決しない。
2012~15年に指名した選手も選別する段階に入っている。

広島東洋

去年台頭した素材型投手が今期は低迷し、
チーム全体の投手数が大きく不足している。
苑田部長はわりと楽観視するコメントを出しているが、
スタッツからは思ったよりも深刻な事態になっているのが見える。
また、好調の野手のほうも深刻な点がある。
それは高齢化。
二軍の野手陣が20代後半と伸びの良くない20代前半に二極化している。
特に二遊間はフル出場の田中、打撃がやや停滞気味の菊池が29歳なので、
年齢のみで考えると、この2人の衰えに対して
高校生の指名では間に合わない可能性が高い。
ただカープは、二遊間に対してはこれまでも体格と高校生にこだわらない指名をしているので、
この後も現実を見極めてしっかり対処してくる可能性は高い。
今年とは限らないが。
そうした指名が成功する間に美間や桒原が昨年の安部ぐらいに成長すると
また少し楽になるのだが。

 

追記

この話をあげたわずか2日後に、
美間優槻と曽根海成のトレードが発表された。
ここで書いたことをもう少し詳しく書くと、
カープは二遊間の25歳以下が桒原と木村だけと極端に不足、
ホークスはサード松田の代役・後継候補が30歳付近に固まっていた*4
しかもこの2人については、
美間は同い年の西川と役割がかぶっている上にポジションの汎用性でやや劣る、
曽根は打撃の伸びが悪い上にタイプが重なっている川瀬の台頭、
とチーム内での需要には少しずつ合わなくなっていた。
しかしお互いの需要にはしっかりと当てはまっている。
このトレードがなければこれから1、2年のドラフトで
即戦力クラスの選手を何が何でも探さなければいけない状況だった。
将来のスタメンに太鼓判を押せるほど楽観視できる状況ではないが、
それぞれの補強ポイントに少しは余裕ができたのは確かだと思う。

*1:ただし評論家や一部ファンは「ただの素材型高卒選手」指名が多くないとすぐ叩くが

*2:サードの候補自体には打撃の評価が非常に高い選手がいるが、将来もサードに入れるかという点が厳しいとされている

*3:念のため付け加えておくと、二軍でも試合を壊すレベルでの制球難ということだ。
たとえば石井一久のような「コントロールが悪い」と言われるが一軍で試合をしっかり作る制球難とは次元が違う

*4:書き忘れていたが、最も若いのは27歳の西田になる