スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

【再掲】2015年ドラフト総評

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2015年のドラフト後にニコニコブロマガにあげたもの。
当たっているところもあれば盛大に外しているところもあるのだが、
私はこういう見方をする、あるいはしていた、ということを示すために
恥をしのんであえて再掲しておくことにした。

 

東北楽天

1位から4位までオール野手。野手:投手は本指名6:1、全体で8:1と野手偏重だった。
2013年が1:8と投手偏重、2014年は3:4のバランス型だったので
3年間の合計でバランスをとったとも言える。
来年から本拠地が人工芝から天然芝に変わり内野の守備力がより求められる中で
若い内野手が打撃守備共に伸び悩んでいる状況を踏まえると納得はできる。
投手も明らかに頭数が足りず若手が伸び悩んでるのがひっかかるが。
オコエも天然芝でダイナミックなプレイをより見せやすくなったかもしれない。
ここからは余談だが、今回の楽天の指名については識者の評価も気になるところだ。
もし2013年楽天の投手偏重を酷評していた識者が
今年の野手偏重を意欲的だの何だのと手放しで褒めたたえていたら

その人物の評は今後、話半分程度にしか聞かない方が賢明だろう。
明らかに発言が矛盾している*1

オリックス

本指名10人、育成2人と全体の数ではソフトバンクを上回る数を指名してきた。
野手は大学生2人に社会人2人。吉田正尚に杉本と長打力が売りの選手も獲っており
近年獲った高卒野手がまだまだ時間がかかりそうな中で
使える野手の層を厚くしたいという意図が見える指名だった。
スラッガータイプの野手は大学・社会人出身でも1年目から出てくる可能性は低いが、
吉田は今後外国人や他の若手の成長次第ではT-岡田とポジションが被る可能性がある。
ライトを守れればいいのだが果たしてプロではどうなるか。
一方の投手は高校生と社会人で固めた。
高校生は完成度が真逆の2人を獲り、
社会人は前評判の高い近藤、角屋に完全に素材型の青山と様々なタイプを指名した。
ただ社会人が赤間も含めてリリーフタイプと思われている選手が多いのが気になる。

埼玉西武

ここも本指名10人だが、投手8人と投手偏重に近い指名をしてきた。
二刀流の川越も投手としての指名のようである。
現在引退、自由契約を公表されている選手が野手に集中している状況で
野手の数が足りなくなったような気もする。楽天とは真逆の展開だ。
まず野手だが、地元の大瀧に第一工業大枠の呉。
二軍の補強ポイントを補ってきた格好だろう。
さて投手だが第二次戦力外で現在1.5軍の中堅・ベテラン選手を
大量に切るのではないかと言われている。
それはいいのだが、今回指名された投手は
実績がその1.5軍の選手たちのアマチュア時代に近い選手が多い。
その実績をはねのけて大化けする選手は果たして何人出てくるだろうか。

千葉ロッテ

1位平沢を抽選で獲得した後は本指名をすべて投手で固めてきた。
7位の高野以外は何らかの形で今年注目を集めてきた選手ばかりである*2
成田は数は少ないもののU-18でゴロアウト2にフライアウト4だったので
フライボールタイプの可能性もある。
2年前の日本生命2人に続いてJR東日本から2人指名したのも面白い。
本指名が平沢のみとなった野手は、内外野ともに
選手層が厚いわけではないのでもう一人獲っても良かったかもしれない。
巷では平沢の評価がかなり高いらしく早くも来年の鈴木大地を心配する声も多いが
打撃成績に関して言うと
彼のアピールポイントは木製バットの打率が一番高かった*3という一点とすら言っていい。
ここから一気に飛躍できることを切に願ってやまない。

北海道日本ハム

1位から3位までが投手。
2位以内で高卒野手を獲らなかったのは2009年以来6年ぶり、
捕手以外の大社野手をコンバートの前提なし(推測)で獲るのも加藤以来6年ぶり
と最近の日本ハムにしてはかなり珍しい出自の指名となった。
まあそれ以外は日本ハムらしいというか、
指名された高校生野手は身体能力の高い選手2人に
投手は未完成の素材型や今年調子の上がらなかった選手を集めている。
あとは井口や田中と大学時代リリーフメインの選手を獲ってきたことか。
もっとも井口はチームの育成方針だったということなのだが*4
チームを見ても野手に比べ投手の伸びがあまり良くないが、
札幌ドームの特性を生かした選手が台頭するかどうか。

福岡ソフトバンク

本指名がオール高校生で育成指名を含めても11人中高校生が9人。
圧倒的な強さでペナントを制した中で
1位で高橋純平を引き当てたことや投打のバランス(3:3)もあって
いかにも高校生至上主義の評論家から絶賛されそうなドラフトを展開した。
今のチームに余裕があるからというよりは
育たなくてもFAや外国人で補えるからに見えるのだが。
生え抜き高卒投手で今年使えたのは武田、千賀、二保ぐらいと
それほど育成がうまいわけではないのだが、
今年は例年のような制球に難のある素材型だけではなく
必ずしも球の速くない制球型も獲ってきたのは興味深い。
一方の高卒野手も育成がうまいと言われているが、
打撃が複数年いいのは中村とFA組の内川だけで
あとは現状完全守備型の今宮やユーティリティに近い明石らがいる程度。
長打を打てるのは松田、柳田、李大浩と全員大卒、外国人で固まっている。
というか福岡移転後から見渡しても長打を打つ高卒は吉永と城島ぐらいしかいない。
むしろこれから育成の手法を探っていこうというところだろうか。

横浜DeNA

上位で1位候補の大学生投手2人を獲りつつ本指名全体では野手3:投手4、
育成指名を含めると高校生4:大学社会人6のバランス型指名となった。
今永はこれまで何度も述べているようにけがの回復具合と
飛翔癖がどこまで横浜スタジアムにかみ合うかがポイントと思われる。
私が見た試合だと外野フライがやけに多かったのも不安と言えば不安。
熊原はリリーフとしての評価も多いので終盤疲れの見えた山崎康晃の代役もありうる。
野手は長打力の割に得点が伸びないチーム状況の中で柴田がどこまで争いに食い込めるか。
戸柱も判明している成績だけを見れば守備型に思えるが打撃の評価が高いようだ。
青柳は下位を打ったことになぜとの声もあるがセンバツ、夏予選共に
絶不調(13-1、13-2)ではしかたないだろう。プロでの巻き返しに期待。
山本は熟慮してどちらを選択したとしても悔いのない決断をしてほしい。

中日

1位高橋を外したものの次に小笠原を抽選で獲得、
1位高卒投手からの外れ高卒投手入札はこの8年間で3度目になる。
大学生か社会人をごり押すはずと言っていた人たちは現実を見た方がいい。
また今年は昨年に比べて最高年齢が1上がったものの、
投手は育成を含めて7人全員が23歳以下という若手重視の指名だった。
逆に野手は本指名が全員社会人で、阿鼻叫喚する人もいれば
GM叩きの材料がまた増えてホクホクしている人もいることだろう。
このチームは実質3年目で完全な主力になった立浪以外、
高卒野手育成にやたら時間がかかる伝統*5があるので
10年後の夢を追うための高卒一辺倒の指名をするよりはましかと思われる。
三振の多い打者を獲りたがる傾向が見られるのが気になるが。

広島東洋

チーム内に使える投手が少なく前田健太黒田博樹の去就も微妙とあってか、
指名すると言われてきた広陵出身の上原ではなく岡田を1位入札した。
ただし3位までは投手で固めたものの全体では投手4野手3のバランス型である。
社会人投手2人はこれまでの役割同様先発とリリーフか。
横山は今年不調だったので復活が望まれる。
高橋も先発かと思うが、ここ20年近く広島の高卒は中継ぎが多いので
リリーフでの出番もありうる。
一方の野手は高卒4年目、3年目の若い社会人2人と高校生。
手薄な上に高卒の伸び悩みが目立つ内野手の層の強化に
打撃型の會澤と競う捕手といったところだろう。
このチームも指名数が多い分高校生野手の育成確率は評判に比べてかなり低い。

阪神

1位はヤクルトが公言していた高山を抽選で獲得したが、
高橋以外なら平沢、オコエあたりが望まれていたのか評判はかなり悪いようだ。
福留が年齢的に何年持つかはわからないのでそのあたりを見越しての指名だろう。
また2年連続で同じチームからの1位2位指名となったが、
2位坂本は他の指名選手との知名度比較では一番上に来る選手なので
順位がこうなってもおかしくはない。
投打ともに素材重視の指名が多いのも監督の要望・公言と合致している。知名度はないが。
反面内野手、特にショートの指名がないのはたしかに気がかり。
今年の大学生より1年下の北條を植田とともに育てていくということか。
投手は素材重視に加えて今年も唯一の社会人・竹安が21歳、
若い投手を好むチームの傾向は変わっていないようだ。

巨人

三軍制を採用することにしたらしく合計16人の大量指名となった。
ここ3年指名数を抑えていた育成枠の大量指名を歓迎する声もあるが、
これまでの育成選手の中で本当に主力になったのが
初期の山口と松本だけという点に識者はなぜ見ないふりをするのだろう。
BCリーグの選手が多い反面実績の乏しい選手がほとんど。野手は若いので伸びしろに期待か。
本指名は投手4に野手4、特に野手は走力と高い外野に捕手、ショート、
長打力のあるファーストという一軍をピンポイントで埋める補強。
重信が大学でセンターを守っていないのがちょっとネックかも。
投手は中位下位でも素材型と完成度型をミックスした、
これまでずっと素材重視の目立った巨人にしては珍しい指名となった。

東京ヤクルト

1位で公言した高山を外したことで外れ1位は方針を転換しての原。
即戦力投手への移行は猛批判されることが多いが、
2位の最後までに即戦力の先発投手が残っていないとの判断から来たものだろう。
石川、館山の年齢を考えれば将来を見据えた選択と言える。
原は大学での実績が岩崎より戸根に近く、
今年の多投*6と投げ込み派であるのがひっかかるが。
2位以下は高校生主体に高山の代わりの山崎と予定通りの指名だったのではないか。
廣岡と渡邉のポジションがかぶっているようにも見えるが、
廣岡はサードやセカンド、外野などに回す可能性も高い。
畠山や川端がそろそろ、となる頃にどこを守っているだろうか。

*1:ただし2013年との兼ね合いをしっかり語っている場合を除く。まああれから3年たってもいないんだが

*2:高野も大学時代に結構有名な選手だった

*3:センバツ.222、県予選.176、夏甲子園.240、U-18.258

*4:今年春の神宮では先発

*5:荒木、平田の6年はまだ早い方

*6:160回+入れ替え戦21 2/3回