スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書きなぐるブログ。更新頻度は気まぐれ

根尾昂開幕一軍スタメンの是非

 
今年のドラフトの目玉の1人だった根尾昂は
4球団競合の末、中日への入団が決定した。
二刀流ではなくショート一本とのことで、ちょっと安心。

さてファンの中には、
かつてのミスター・ドラゴンズ立浪和義の再来を期待して
来年根尾の一軍開幕スタメンを求める人がかなり多い。
案の定といったところだが、
当時の監督だった星野仙一の薫陶を受けていそうな
与田剛監督の存在もそうした期待を高めているのだろう。
他には伊東勤ヘッドコーチが就任したことも、
ファンが妄想をたくましくする要因の一つになるかもしれない。
もっとも、ロッテ時代の2016年平沢大河を例に出すか、
西武時代の2006年炭谷銀仁朗*1を例に出すかは
その人の主張次第だろうがね。

では私個人の意見はどうかというと、
賛成はできない。
根尾の起用が当たって大物選手になったとしても、
チームが致命的なダメージを負う可能性があるからだ。
そう考えるのは、
他ならぬ立浪の成功経験に理由がある。

立浪起用に始まったドラゴンズの迷走?

以前出したのと同じやり方で、
1988~2004年の中日ショートを見てみよう。
今回は横に立浪自身のスタッツを入れてみた。

 

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立浪がセカンドへ移った後、
中日がいかにショートに苦労していたかがわかるだろう。

立浪の場合、
1年目のキャンプ中に右肩を痛めたのが尾を引いたそうだが、
無理に一軍で使い続けず完治させていればどうなっていただろう
とどうしても思ってしまうのだ。
その右肩痛の悪化とシーズン後半の不調の影響か、
9月以降は1週間以上スタメンを外れることもあった。
その時は山田和利が起用されている。
宇野勝が入らなかったのは、
セカンドで打撃好調だったので
それ以上負担を増やしたくなかったのもあるんだろうか。

立浪はショートからセカンド、
さらにチーム事情によって外野やサードに入るようになるが、
バッティングは1990年から2003年までで
リーグ平均を下回ったのが1年だけ。
安定して高い数字を残し続けた。

一方で中日のショートは迷走が続いた。
最初は若い種田仁がセカンドから回ったが
故障を抱えたこともあってか安定しない。
種田と同学年の鳥越裕介もバッティングが伸び悩み、
それ以外の選手もなかなか伸びてこなかった。
かの94年の10.8でショートに入ったのは立浪である。
李鐘範、久慈照嘉福留孝介
外国人、トレード、逆指名をフル活用した後に、
井端弘和が台頭し定着。
10年にわたる迷走にようやくピリオドが打たれた。

この後のショートも改めて出しておこう。

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一時期荒木雅博と井端の入れ替えもあったが、
長く安定していた井端と以降の苦戦ぶりがうかがえる。

1年目からショートで使い続けるデメリット

高卒1年目で開幕スタメンに抜擢された立浪は、
リーグを代表するセカンドに成長した。
全盛期は27歳でそれ以降はやや下降気味だったようにもみえるが、
97年からPFの低いナゴヤドームに移っていることを考えると
バッティングの全盛期は30代中盤まで続いていたとも見える。
驚異的な選手であり、チームリーダーであった、
ミスター・ドラゴンズと言っていいだろう。
逆にチームは立浪がセカンドに回らざるを得なかったことで
かなり苦労するはめになった。
1年目から故障を抱えながらの起用だったのを考慮しないといけないが、
長く活躍するショートの確立という点で言うと、
立浪の開幕スタメンは長期的には成功しなかったのだ。

今の中日ではどうだろう。
現在のスタメンはバッティングの全盛期がまだまだこれからの京田陽太
それ以外では守備型の堂上直倫しかおらず、
二軍は今年打席に立てなかったルーキーの高松渡以外ボロボロの状態だが、
高松と三ツ俣大樹、溝脇隼人に根尾が加わると余ってしまう。
一軍の水に慣れさせるために
根尾をある程度一軍に置くのはありなのかもしれない。
ただ、一軍スタメン固定となるとやはり負担が大きすぎるように思える。
しかも中日はキャッチャーの打撃が弱いから、
気楽な打順に置くことも難しい。
二番に置いてしまえば自己犠牲重視になって小さくまとまる可能性もある。
こういった怖さの方が先に来るのだ。

決断は来年になってから首脳陣が判断することなので、
今から我々がどうこう言える内容ではない。
我々に必要なのは、
スタメン固定のバラ色の部分だけではなくリスクを理解すること、
もし1試合でもスタメン起用されなかった時や
結果が出せないときに首脳陣を短絡的に叩くのをやめること。
このへんだろうか。

*1:立浪以来18年ぶりの高卒1年目開幕スタメン。以降は2011年駿太と2013年大谷翔平のみ