スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

2005年ドラフトを振り返る

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「辻内世代」にマニアが熱狂した2005年

2005年は「辻内世代」と呼ばれたことからもわかるとおり、
高校生が抜群の人気を誇った年である。
世代の代表とされた辻内崇伸以外にも、
辻内とともに「浪速の四天王」と呼ばれた平田良介鶴直人岡田貴弘に、
山口俊や片山博覗をはじめとして
多数の高校生がドラフト上位候補に名を連ねた。
この年から高校生と大学・社会人の分離開催となったことが、
周囲の盛り上がりに拍車をかけた可能性はある。

この年の巷の評価は概ね「高校生大豊作、大学社会人不作」というものだった。
大社の希望枠候補最有力は
平野佳寿福田聡志高宮和也あたり。
野手も武内晋一松田宣浩は有力候補ではあったが、
不調やチームのリーグ戦出場辞退などもあってそこまで高評価にはならず。
そもそも、希望枠として自由獲得制度が残ったことで
争奪戦への興味が薄れてしまったのも一因かもしれない。

1巡入札

  選手名 ポジ 出身 競合
1 片山博視 LHP 報徳学園 2
1 辻内崇伸 LHP 大阪桐蔭 2
1 陽仲寿 SS 福岡第一 2
4 村中恭兵 LHP 東海大甲府  
4 山口俊 RHP 柳ヶ浦高  
4 炭谷銀仁朗 C 平安高  
4 平田良介 CF 大阪桐蔭  
4 柳田将利 LHP 青森山田  
4 鶴直人 RHP 近大付高  
10 鈴木将光 CF 遊学館  
11 岡田貴弘 OF 履正社  
12 荒川雄太 C 日大高  

 

  入札 外1巡 2巡
C 片山博視 鈴木将光 今井啓介
E 片山博視    
G 辻内崇伸    
F 陽仲寿    
S 村中恭兵    
Bs 辻内崇伸 岡田貴弘  
By 山口俊    
L 炭谷銀仁朗    
D 平田良介    
M 柳田将利   林啓介
T 鶴直人    
H 陽仲寿 荒川雄太  

高校生は最終的に指名が分散。
片山、辻内、陽の3人に2チームずつが競合し、
あと6人が単独指名という結果になった。
それだけ1位候補が充実していた、というよりは
単に抽選を外すと苦しくなるという本命不在の印象で、
プロと評論家・マニアとの評価の乖離が見えてきている。

  選手名 ポジ 出身
1 福田聡志 RHP 東北福祉大
1 八木智哉 LHP 創価
1 武内晋一 1B 早稲田大
1 平野佳寿 RHP 京都産業大
1 高宮和也 LHP ホンダ鈴鹿
1 松永浩典 LHP 三菱重工長崎
1 吉見一起 RHP トヨタ自動車
1 松田宣浩 3B 亜細亜
1 岩田稔 LHP 関西大
10 松崎伸吾 LHP 東北福祉大

 

  希望枠 1巡
C    
E   松崎伸吾
G 福田聡志  
F 八木智哉  
S 武内晋一  
Bs 平野佳寿  
By 高宮和也  
L 松永浩典  
D 吉見一起  
H 松田宣浩  
T 岩田稔  
M    

大社は10球団が希望枠を申請するも、楽天は契約を締結できなかった。
広島とロッテは大社1巡指名を行わず、
代わりに高校生2巡指名の権利を得ている。

パリーグ

ソフトバンク

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単独指名を狙った地元の陽は日本ハムに特攻される。
それでも高校生は4人を指名したが、
全員が一軍出場なしと大失敗に終わった。
しかし大社では松田を希望枠で獲得すると、
本多も一軍で長くセカンドスタメンに定着。
投手も藤岡と柳瀬がリリーフで何年も機能する大当たり年になった。
本多は高卒3年目のプロ入りで2年目にスタメン固定されたが、 打撃の全盛期は30歳前後だった。
松田も全盛期は30近くなってから。

ロッテ

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1位は強打者としても定評のあった柳田を単独指名、
希望枠を使わず高校生2巡指名も行ったがこちらは大失敗。
細谷は200打席を超えたのが11年目の2016年だけ。
一方の大社は根元、川崎、古谷がそこそこ使える指名。
ただし古谷は本格化が5年目と大卒社会人にしては遅い。
根元は3年目に一度スタメン定着するが、
翌年井口資仁を獲得したことで行き場を失った感がある。

西武

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単独指名で獲得の炭谷は、
細川亨の故障などもあって1年目から一軍で起用される。
細川のいなくなった6年目からは完全にスタメン固定されるが、
バッティングがずっと伸びなかったのは痛かったか。
これでも高校通算48HRの選手である。
ただし、それ以外は投打、高校・大社問わず伸び悩み。
高卒3年目での指名だった松永の本格化は6年目の2011年、
田中が初めて32試合に登板したのは13年目の昨年となっている。

オリックス

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辻内の抽選は最終的に外れたが、
外れ指名で残っていた岡田が5年目に台頭した。
若干ムラの大きさもあるが、チームの主砲として活躍している。
大社では希望枠の平野に加えて
マニアの知名度は低かった岸田が長く戦力になり、
この年は大成功ドラフトと言える。
中山は本格化が7年目なのが物足りない部分でもある。

日本ハム

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高校生では1巡にソフトバンク濃厚の陽、
3巡は地元中日が濃厚の木下を先んじて指名。
2年前の須永英輝に続き、のちの菅野智之特攻などにも通じる指名だった。
このうち陽は外野へコンバート後の5~6年目に開花する。
大社では希望枠の八木が1年目から活躍したが、
2年以上活躍できた時期がないのが痛い。
一方その中で大活躍だったのが27歳で指名の武田勝
エース格がダルビッシュ有から入れ替わる時期の中で、
先発ローテとして6~7年間活躍し続けた。
川島はプロ入り直後にポジションが埋まってしまったが、
トレード先のヤクルト、ソフトバンクで戦力になっている。

楽天

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高校生1巡こそ抽選に当たったものの、
希望枠獲得に失敗したことや
高3-大社8という指名バランスの影響か、
ドラフト直後の評価は全く高くなかった。
全体では投手4-野手7の野手重視ドラフト。
しかし高校生は銀次が7年目から活躍し、片山もリリーフとしてそこそこ。
大社は青山が長年リリーフとして貢献し、
野手も29歳で指名された草野が奮闘した。
枡田は活躍時期が7年目以降の3年だけなのが意外といえば意外。

セリーグ

阪神

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高校生ドラフトでは地元四天王の一角鶴を一本釣り。
3巡、4巡ではセンバツ、夏甲子園に出場した選手をそれぞれ並べた。
鶴は5年目に先発で台頭しかけたが、その後は伸びきらなかった。
夏甲子園組では評論家・マニアから全く評価されていなかった前田が、
打撃に難がある守備型とはいえ長く働く戦力になるとは。
大社では関西の大学・社会人から3人の投手を指名、
岩田と渡辺がそれぞれ先発・リリーフで主力となる当たり年だった。

中日

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高校生1巡指名の平田は3~4年目に一軍にいた*1あと、6年目にスタメン定着。
ナゴヤドーム補正と守備位置を考えると、
T-岡田以上の活躍を見せていると言っていいかもしれない。
時々「中日の育成下手」のダシにされているが。
高校生は計4人指名していた。
大社は地元の高卒3年目希望枠から吉見が3年目に台頭し、エース格に。
藤井は4年目にいったん台頭した後、30代中盤から打撃が安定した。
新井も阪神に移籍した7年目から台頭。
大社野手は全体的に遅咲きの選手が多かったようだ。

横浜

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高校生はセンバツに出場した山口を単独指名、
4年目からリリーフ、9年目からは先発で力を発揮している。
FAやら何やらの影響もあって評価は低いが、
この世代No.1投手と言って差し支えないのではないか。
黒羽根はバッティングがかなり伸び悩んだのが痛い。
希望枠の高宮は先発、ワンポイントと使われるが結果を出せず、
実質的には3チーム目の阪神へ移籍した9年目から2年間が戦力と言える。

ヤクルト

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高校1巡単独の村中は3年目と早い段階で出てくるが
2年続けて結果を残すことができず、
先発としては良くないなりにイニングを食えるのが強みだった。
投手は松井も30試合以上になると1年だけといま一つ。
一方の野手は川端が5年目からショートスタメンに定着、
さらにサードへ移った後は高いアベレージを残す選手に成長した。
飯原も中距離打者としてまずまずの出来。
希望枠の武内はその守備位置も相まってスタメン定着はできなかった。

巨人

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この年は投手8、野手2の投手偏重指名だった。
世代の目玉とされ、競合の末獲得した辻内は故障と制球難で一軍出場なし。
高校時代からの弱点*2を克服できないままだった。
高校生は4巡の福井に拒否されたこともあり全滅。
大社も希望枠にリリーフの福田、
3巡ではこちらも上位候補だった栂野を獲得するがこの2人はいまいち。
しかし4巡の越智と育成の山口が大活躍で指名は報われた。
脇谷はバッティングが伸び悩み、なかなかスタメン定着とはならなかった。

広島

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高校生1巡で片山を外したあとは夏甲子園に出場した鈴木。
広島らしく高校生4人を指名したが、
今井の7、8年目、齊藤の4年目以外は戦力とはならなかった。
希望枠を回避した大社も投手は戦力にならなかったが、
大卒3年目に指名された梵が1年目からショートレギュラーに定着。
35歳ごろまでショート、サードで活躍した。

*1:ただし2009年は42試合95打席で条件を満たさず

*2:夏予選28回22四死球、甲子園41 2/3回17四球5死球