スポーツのあなぐら

主に野球のデータ、ドラフトについて書いていくブログ。更新頻度は気まぐれ

中日暗黒期前10年のドラフトを振り返る

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現在、2013年から6年連続Bクラスが続いている中日。
その原因をどこに求めるかは人それぞれなのだが、
その中でドラフトが取り上げられる時は、
2012年以前のドラフトが取り上げられることはほとんどない。
特に例の「暗黒期は2013年以降のドラフトのせい」と言い切った
大御所評論家にいたっては、
同じ本の別なページで
「暗黒期前の10年間のドラフトを見るのが大事」と書いたのに、
舌の根も乾かぬうちにこういうことを書いている。
ここまでいくと、
2012年以前のドラフトに何か触れられたくないことでもあるのか、
陰謀論的な疑いをもたれてもおかしくないレベルだ。

今回はそんな2003~12年の中日ドラフトについて見てみよう。

高校生が多い上位指名

まずは上位指名から。

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  高投 高野 大投 大野 社投 社野
2003    1  1      
2004      1    1  
2005    1      1  
2006    1    1    
2007  1    1      
2008  1          1
2009  2          
2010    1  1      
2011  1  1        
2012  1    1      
03~12  6  5  5  1  2  1
2013  1        1  
2014      1    1  
2015  1    1      
2016      1  1    
2017  1        1  
2018    1  1      

2005~07年は分離ドラフトだったから置いておくとしても、
統一ドラフトでは高校生が半数を超えている。
特に2008年からは2位指名が5年連続高校生。
その結果、2008~12年の上位指名は高校生7-3大社で、
これは12球団単独トップの数字だ。
結果論になるが、
もし2008年の1巡でスカウト陣の推す大田泰示を引き当てていたら
高校生8-2大社とさらに高校生偏重の上位指名だった。
もっとも3巡指名は全員大学生と社会人*1
それでも3巡までで高校生7人は
巨人(9)、ソフトバンク(8)の次に多く、
ヤクルトと並んで3位タイだが。

前5年で急増した層

  高投 高野 大投 大野 社投 社野 高投 高野 大投 大野 社投 社野
2003   2 1 1 2 1 7            
2004     2 2 4 3 11            
2005 2 2 1 1 2 2 10       1 1  
2006   2 2 2 1 1 8            
2007 2   1     1 4            
2008 3 1 1 1   1 7       1   1
2009 2     4   1 7     1 1    
2010 1 1 1 1 1   5            
2011 3 1 2       6            
2012 2 1 1 2 1   7            
03~12 15 10 12 14 11 10 72            
03~07 4 6 7 6 9 8 40            
08~12 11 4 5 8 2 2 32            
2013 1     1 3 1 6 1     1    
2014     2 1 2 4 9 1 1   1    
2015 1   1   1 3 6 1   2 1 2  
2016 1 1 3 1     6         1  
2017 3 2     1   6     1   1  
2018 1 2 1 1 1   6            

最初の4年間は、
落合新監督が大して関わっていないと思われる2003年も含めて
大学生と社会人の指名が多い。
それもあって、10年全体では投打とも万遍なく指名が行われている。
特に野手はさすがに高齢化が進みすぎていたことと
それ以前に獲得した大学生野手の育成もあってか、
落合監督退任後も大学生を獲得しつつ
野手の指名数そのものが減っていた。
そんな中、2007年頃から極端に指名数が増えているのが高卒投手だ。
1年平均2人以上の高校生投手が指名されていて、
2008年以降に限定すると本指名全体の1/3が高卒投手になる。
そして、それから5~10年経過した今、
中日はホームがナゴヤドームにも関わらず毎年失点数がリーグ下位。
…まさかこれを知られたくなかったのか?

と、こんな考察をしてはみたが、
たぶんそこまで関係はないと思う。
少なくとも「野手の弱体化も高卒投手が原因」とは考えられないし、
それにあの人たちがこのへんの数字をチェックしているとも思えない。

2013年以降に言及すると、
最初の3年間が大社偏重になっていたこと、
2014年が大失敗に終わったことは紛れもない事実だ。
一方で一昨年は再び高卒投手を大量指名。
大社投手も大学生か高卒3年目が多い。
最近の中日スカウト陣が高校生投手を好むのだろうし、
落合前GMも去年は吉田輝星をかなり推していたのを考えると、
やはり投手に関してはスカウト陣とGMの好みが一致していたんだろうな。

10年間に指名した選手の結果

最後に、この10年間の指名でいったいどういう選手が出てきたのか
見てみよう。

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1年でも戦力になった選手の一覧はこうなった。
まず野手は、打てる野手の育成がうまくいっていないのがわかる。
それも単に指名していないのではなく、
アマ時代には強打で知られた選手も軒並み打てなくなっている。
ナゴヤドーム補正を考慮しても伸び悩みが顕著だ。
とこう言うと今度は「一軍で使わないから伸びない」と言われそうだが、
たとえばここ数年盛んに使えと騒がれ続けた高橋周平は
けっこう打席を与えられている。
いや、一軍スタメンに固定し続けろと言うかもしれないが、
ポジションのライバルのスタッツはこうなっていた。

OPS 高橋 ルナ 森野 福田 堂上直
2013 .691 .919 .830    
2014 .724 .888 .802    
2015 .624 .764 .678    
2016 .688     .754  
2017 .632       .522

森野はルナをファーストに回す場合の比較対象。
高橋の調子がライバルの調子と比例してしまっていた。
一昨年の堂上を除けば、
彼らを外して高橋を固定しろと主張するほうが常軌を逸している。

投手のほうは、長く活躍する選手が少ない。
まあまあの選手が多かった2004年の効力が切れた後は
吉見と浅尾しか残らない展開になってしまった。
大量に指名してきた高卒で3年以上戦力になったのは岡田だけで、
大卒と社会人はそれよりはまだいいが絶対数が少なすぎた。
人材不足が続いているここ数年の中日投手陣を作り出した
元凶と言ってしまっても差支えないだろう。

*1:大学生4人、社会人は高卒3年目の武藤